原子番号117:テネシンの特徴や性質

不明

原子番号117はテネシン、元素記号はTsです。元素名については、発見者がアメリカのテネシー州にちなんて提案してきた元素名をそのまま採用してつけられました。

2004年12月にロシアのドブナ合同原子核研究所がアメリカのオークリッジ国立研究所に対して117番元素の合成実験を共同で行うことを提案しました。これは、バークリウムにカルシウムのビームを当てて核融合させるという計画で、ドブナ合同原子核研究所でアクチノイドをターゲットにして113から116番元素と118番元素を発見した一連の実験を完了させるためのものでした。ところが、当時バークリウムを製造できる唯一の機関だったオークリッジ国立研究所は一時的にバークリウムの製造を中止しており、再開にも莫大な費用がかかるためにバークリウムを提供することができませんでした。

バークリウムを生成するにはカリホルニウムが必要であり、カリホルニウムを生成するには約35億ドルの費用が必要であるため、カリホルニウム生成の依頼が入るまで実験が延期になることに合意されました。

2008年春になり、オークリッジ国立研究所がカリホルニウムの製造を再開、同年夏にバークリウムの抽出に関する契約が交わされました。2008年12月に22mgのバークリウムの生成に成功しましたが、冷却に90日、分離・精製に90日がかかり、生成されたバークリウムは半減期が330日だったために既に半分が崩壊してしまいました。

さらなる実験のためにアメリカからロシアにバークリウムを運ぶ必要がありましたが、書類の不備などがあり取り合に到着したのは2009年6月となりました。ロシアでの実験は2009年7月末から始まりましたが、2010年1月にはフリョロフ原子核反応研究所内で117番元素の2つの崩壊系列が検出されたことが発表されました。

2012年にはドブナのチームが実験を行い、117番元素を7つ作ることに成功、118番元素の合成も確認されました。結果2015年12月に117番元素の発見が公式に認定されました。

テネシンという名称が決まるまではメンデレーエフの命名法に基づいて「エカアスタチン」と呼ばれたり、一時的に「ウンウンセプチウム」と呼ばれたりしていました。元素の命名についてはそれまでは「イウム(-ium)」で終わることとされていましたが、2016年に発効された勧告では「イン(-ine)」で終わることととされたため、テネシンとう名称が提案されました。

古いルールを用いていたら、117番元素の名前はテネシウムになっていたことでしょう。