原子番号96:キュリウムの特徴や性質

アクチノイド

原子番号96はキュリウム、元素記号はCmです。元素名については、電子配置でキュリウムに対応するランタノイド系の元素であるガドリニウムが希土類元素の研究者であるガドリンにちなんで命名されたことを受けて、放射能研究で有名なキュリー夫妻にちなんで命名されました。

常温常圧の状態では銀白色の金属で、面心立方構造の安定した結晶構造をしています。安定同位体は存在しないため、天然にも存在せずすべてが放射性です。キュリウムの化学的な性質はガドリニウムに似ていますが、ガドリニウムよりも複雑な結晶構造をしています。融点は1340℃、沸点は3520℃です。

1944年にアメリカの化学者シーボーグなどによって、プルトニウム239にアルファ線をあてることでキュリウム242が作られました。純粋な化合物が単離されたのは1947年夏ごろで、水酸化物の形態でした。その後1951年にフッ化キュリウムをバリウムで1275℃で還元することで金属を得ることができました。アメリシウム243に中性子を照射することでキュリウム244が人工的に作られます。

キュリウムの同位体は全部で19存在します。キュリウム242は半減期が160日、キュリウム243は半減期が29年、キュリウム244は半減期が18年、キュリウム245は半減期が8500年、キュリウム246は半減期が4700年、キュリウム247は半減期が1560年、キュリウム248は半減期が34000年となっており、これらはすべてアルファ崩壊する放射線核種になっています。キュリウム250は半減期が6900年で、アルファ崩壊とベータ崩壊をする放射線核種となっています。

キュリウムの用途としてはキュリウム242・244が医療用の原子力電池の動力源として、キュリウム242が実験用のアルファ線源として、キュリウム248が加速器研究の超重元素の形成のために使われます。さらに月面探査機サーベイヤー・火星探査機オポチュニティーの元素分析装置にも利用されています。

キュリウムは食事や飲水・吸気などによって人の体内に取り込まれる可能性があります。一般的には胃腸からの吸収が人体内部にキュリウムは蓄積する原因となります。体内に摂取されたキュリウムは、そのほとんどが数日以内に体外に排泄され、血中にはあまり残りません。摂取されたキュリウムのうち0.05%が血中に入ることがわかっています。

血中に入ったキュリウムのうち約90%が肝臓や骨に約半分ずつ蓄積し、体内での半減期は20~50年とされています。残りの約10%は排泄されていきます。骨の中に入ったキュリウムは主に骨内膜表面に蓄積することがわかっています。