原子番号21はスカンジウム、元素記号はScです。元素名は地名であるスカンジナビアを意味するラテン語から命名されました。常温常圧の状態では銀白色をした柔らかい金属ですが、空気中に置いておくと参加して淡黄色・淡桃色の被膜が生成されます。結晶は六方細密充填構造をしており、水・希酸には少しずつ溶けますが熱水・酸にはすぐに溶けるという特徴があります。
地球の地殻中にはコバルトと同じ程度存在していますが、地球の表面では50番目の量になります。宇宙規模でみると太陽系には23番目に存在量が多いことがわかっています。地球上に存在するスカンジウムは濃縮されたり固まって存在しているわけではなく、何百種類もの鉱物にまばらに少しずつ存在しているためレアメタルに分類されています。
スカンジウムを主成分とする鉱物としては「トルトベイト石」「ユークセナイト」「ガドリン石」などが知られていますが、どれも産出量が少なく、希少で高価なものです。これらの鉱石がスカンジナビア半島やマダガスカル島でよく採掘されるため、元素名にスカンジナビアの名称が使われました。
スカンジウムは産出量が少なく高価であることから、添加物質として使われることが多いです。また反応性も高いため、研究開発があまり進んでいないのが現状ですが、近年は新素材としての注目度が高まっています。
大きな球場といったスポーツ設備や体育館・工場などの施設では「メタルハライドランプ」が使われていることがありますが、その場合にはヨウ化スカンジウムがヨウ化ナトリウムとともに使用されています。これは、水銀灯にスカンジウムを加えることで太陽光に似た柔らかな光が放たれることを利用しています。
さらに、アルミニウムに0.5%という割合の少量のスカンジウムを加えることで、アルミニウムの軽さを生かしたまま強度と融点を高めることができます。このことから、アルミニウムの溶接が可能になり、ジェット機のパーツにこの合金を利用したり、野球のバット・ラクロスのスティック・自転車のフレームなどといったスポーツ用品の分野でも広く利用されるようになってきました。
精製されたスカンジウムは酸化スカンジウムとして利用されますが、UV検出器の特殊工学コーティングや原子炉の中性子フィルターなどに利用されています。
現在は地球上の生物でスカンジウムを必要としているものは見つかっていませんが、食物連鎖に入り込んでいるため、人もごく少量を摂取していることになります。特にお茶の葉には他の植物に比べると多くのスカンジウムが含まれていることがわかっていますが、一般的な飲用では人体に大きな影響はありません。