原子番号71:ルテチウム

ランタノイド

原子番号71はルテチウム、元素記号はLuです。元素名はパリの古い地名にちなんで命名されました。1907年にフランスの化学者ジョルジュ・ユルバンがイッテルビウムと思われていた物質から新しい元素を発見、分離したのがルテチウムです。同じ時期にオーストリアの鉱物学者であるウェルスバッハとアメリカの化学者チャールズ・ジェイムズも単体分離に成功したことがわかっています。

天然に存在するランタノイドとしては1803年にセリウムが発見されてから、1907年にルテチウムが発見されるまで100年以上もかかっており、レアアースの分離がとても困難であったことがわかります。

ルテチウムは常温常圧の状態では銀白色の硬い金属で、六方最密充填構造の安定した結晶構造を持っています。水にはゆっくりと溶けますが、酸には簡単に溶けます。空気中に置いておくと表面が酸化してくもり、高温では酸化物に変化します。

ルテチウムが採れる鉱石としてはフェルグソン石・イットリア石・ゼノタイムなどがあります。地殻には金や銀よりも多く存在しているとされていますが、ランタノイドの中では一番存在量が少ない元素となっています。分離の難しさや稀少性から高価になっており、あまり大々的に使用される元素ではなく、研究用として使われることが多いです。

ルテチウムにはルテチウム175とルテチウム176という同位体が天然で存在します。ルテチウム176は放射性で、その半減期が378億年であることがわかっています(半減後はハフニウム176に変化します)。この半減期を利用して、数億から数十億年という大きな単位での古い年代測定(ルテチウム-ハフニウム法)に役立てられています。特に地球惑星科学の分野でルテチウムが活用されるようになっています。地球上で見つかった年代の古い火成岩や隕石、月の石などもルテチウム-ハフニウム法で年代を測定されています。

また、実用化には至っていませんがセラミックスの耐熱性を高める研究にもルテチウムが使われています。セラミックスは高温に耐えることができるため、工業材料として重要な役割を担っています。セラミックスの中でも窒化ケイ素セラミックスは衝撃に強く、熱膨張が小さいという特性をもっています。その窒化ケイ素セラミックスの構造をよりちみつなものにするために、酸化アルミニウムや酸化イットリウムなどが添加されてきましたが、1000℃を超える環境では全体が柔らかくなってしまうという難点があります。

窒化ケイ素セラミックスに酸化ルテチウムを添加してみたところ耐熱性が向上し、1500℃の環境でも耐えられることがわかりました。ルテチウムを利用した耐熱性に優れたセラミックスが実用化されると、セラミックスを冷却する必要がなくなるため、省エネ電力供給システムへの利用が可能になると期待されています。