原子番号22:チタンの特徴や性質

遷移元素

原子番号22はチタン、元素記号はTiです。1791年に発見地のメナカン谷にちなんで「メナカイト」と名付けられましたが、1795年にギリシャ神話で地球最初の子とされるタイタンにちなんでチタンと名付けられました。

常温常圧の状態では光沢をもった銀灰色の金属です。結晶は常温常圧の状態では六方細密重点構造ですが、880℃以上になると結晶が体心立法構造に変わります。酸化チタンは非常に安定性が高い化合物で、その耐食性と安定性は白金や金などの貴金属とほぼ同等といわれています。貴金属とほぼ同じ耐食性を持つ金属の中では一番軽く、安価な金属です。

詳しく見ていくと、重さについてはおよそ鉄の3分の2・銅の2分の1になります。強度については、鉄の2倍・アルミの3倍になります。さらにバネ性がありしなりやすいという特徴があります。衝撃を与えても元に戻る力があるため、割れたり折れたりしにくいのです。耐食性が強いという点では錆びにくいとも言い換えることができます。海水に金属をつけると錆びやすくなりますが、チタンは海水につけても白金に次ぐ耐食性があります。

上記のような特徴を生かして、チタンは様々な分野で利用されています。

◎航空機

軽さと強度が要求される航空機では、コックピットの窓枠・着陸装置・胴体の尾部など特に強度が必要な部分でチタンが使われています。熱伝導率が高く結露しにくいため、高度の高い場所でも結露を起こさず運航することができます。

◎船舶

海水に浸けてもさびにくいため、船舶本体の素材としても使用されています。

◎建設・土木

軽さ・腐食性の高さから住宅の屋根やビルの外壁・外観をはじめとして、海底トンネルなどにもチタンは使われています。寺院などの歴史的建造物(屋根など)、羽田空港滑走路の橋脚、美術館やホテルの外装にも使われています。

◎スポーツ・アウトドア用品

軽さと強さを生かして、ゴルフクラブやテニスのラケット・自転車のフレームやパーツにも使われています。

◎アクセサリー・医療器具

チタンは人体に触れてもイオンがほとんど発生せず金属アレルギーを起こしにくいという特徴があるため、直接肌に触れるアクセサリーや義手・義足、人工関節・人工骨などにも使われます。医療用の道具にも利用されています。

チタンは強度が高いという特徴があるため、加工がむつかしいという側面もあります。チタンを加工するには、チタン専用の工具を利用している企業も多くあるようです。チタン自体は汎用性が高いため多くの企業がチタンの加工に工夫をし、高い技術力を保持して取り組んでいます。