原子番号29:銅の特徴や性質

遷移元素

元素記号29は銅、元素記号はCuです。元素名はラテン語で「キプロス島の真鍮」を意味する言葉から命名されたと言われています。英語名はcopperであり、一般的に銅メダルを「ブロンズメダル」を表現するのは、銅メダルの素材が青銅(Bronze)であるためです。

銅は地球上に自然銅として大量に存在しており、古くから人類に利用されてきました。日本にもかつて足尾銅山(栃木県)・別子銅山(愛媛県)・日立銅山(茨城県)などがあり、海外への銅の輸出も行っていたほどですが現在はすべて廃鉱となっており、銅は100%海外からの輸入に頼っています。

地球上には約9億4千万トンもの銅が埋蔵されていることがわかっていますが、そのうち鉱石として採掘できる量は約6億9千万トンとされています。利便性が高く、世界中で広範囲に利用されているため、それほどの量が埋蔵されていても2040年には銅が枯渇するのでは?という専門家の意見も見られます。

銅の生産についても各国が行っていますが、生産量が多い国としてはチリ・ペルー・中国・アメリカ・オーストラリアなどが挙げられます。常温常圧の状態で導電率が高い・熱伝導性に優れている・殺菌効果がある・滑降しやすい・耐食性が高いという特徴があり、世界中のいろいろな分野で活用されています。

純粋な銅は別名「あかがね」とも呼ばれる通り、美しい赤褐色をしています。空気に触れることで酸化が始まると、褐色・暗褐色・黒褐色・緑青色へと変化します。銅の錆びとして緑青が知られており、日本では一般的に体に悪いものというイメージが強いようですが、海外ではそのような考えはありませんでした。また、緑青は水に溶けることもありませんので、人体にとって有害であるという根拠もありません。近年は動物実験によって緑青の安全性が認められ、日本でも誤った認識と考える方が多くなってきました。

人類にとって銅は1万年以上の付き合いのある金属ということができます。古いものでは紀元前8700年のペンダントがイラクで出土されており、現時点ではそれが最も古い銅製品と言われています。それ以降、銅は食器・武器・装飾品・屋根など、さまざまに利用されてきています。

日本で初めて銅が使われたのも紀元前300年ころとされています。そのころの日本は弥生時代であり、中国大陸から渡来したと考えられており、旧中北部を中心に剣・鉾・鏡などの青銅器文明が栄えて日本中に広まっていきました。

銅はリサイクルの効率が良い金属の一つです。他の金属との合金からも銅だけを簡単に抽出することができるため、再利用も盛んにおこなわれています。