原子番号59:プラセオジムの特徴や性質

ランタノイド

原子番号59はプラセオジム、元素記号はPrです。元素名はギリシャ語で緑色を意味する単語と、双子を意味する単語を合成して命名されました。プラセオジムの三価のイオンが緑色をすることが命名につながっています。和名でプラセオジムと呼ばれるのは、ドイツ語からきています。

常温常圧の状態では銀白色のやわらかい金属で、複六方最密充填構造の結晶構造をしています。798℃以上になると、安定した結晶皇后は体心立法構造になります。常温では空気中で酸化し、表面が黄色い酸化物で覆われます。290℃以上になると発火するという特徴もあります。展性と延性があり、熱水と少しずつ反応をし水素と水酸化物を作り出します。三には簡単に溶け、淡い緑色をした水和イオンを生成します。

プラセオジムの鉱石はモナズ石やバストネス石・ペグマタイト・褐れん石などがあります。

プラセオジムの酸化物には青い光を強力に吸収するという性質があるため、溶接作業をする際に使われるゴーグルのガラスに混ぜ込まれます。また、希土類元素(レアアース)初の顔料として、プラセオジムイエローが実用化されました。絵具と同じように別の顔料と混ぜて新しい色を作り出すことができる顔料となっています。さらに陶磁器の釉薬や光ファイバーの増幅器やアンプの添加物としても使われています。

プラセオジムとコバルトの合金はプラセオジム磁石となります。プラセオジム磁石は強度が大きく、割れることや欠けることがないにもかかわらず、複雑な加工(穴を開ける・一部を切り取る)が可能な永久磁石です。高温に熱すると曲げることもでき、錆びにくいという特徴もあるのですが、コバルトを使うことが原因で高価になるため、あまり使われていません。さらに磁力が強く安価なネオジム磁石の方が普及しています。

近年はプラセオジム・ニッケル酸化物にガリウムと銅を添加すると、酸化透過率が高くなる仕組みが解明され、燃料電池の材料や酸素透過膜の材料として応用されることが期待されています。

プラセオジムが見つかるまでは、「ジジミウム」という元素が存在していました。1839年にセリウムの化合物からランタンを発見したスウェーデンの科学者が、1840年に未知の元素が含まれていることを発見しその元素をミミジウムと名付けていました。その後、ミミジウムは1つの元素として40年にわたって信じられていましたが、その後ジジミウムからサマリウム・ガドリニウム・プラセオジム・ネオジム・ユウロピウムが発見され、ミミジウムという元素が消滅しました。1803年にセリウムが発見されてから、1896年にユウロピウムが発見されるまでは90年以上の歳月がかかり、その間の45年間「ジジミウム」という元素名が使われていました。