原子番号39:イットリウムの特徴や性質

遷移元素

原子番号39はイットリウム、元素記号はYです。元素名は1787年にスウェーデン・ストックホルム近くのイッテルビーという土地で鉱物が発見されたことにちなんでつけられています。鉱物から単体のイットリウムが取り出されたのは1828年のことです。元素記号も、1920年頃まではYtとされていましたが、現在はYが使われるようになっています。常温常圧の状態では銀白色の光沢をもつ金属です。

イットリウムは希土類鉱石のほとんどに含まれているレアアースの一種です。ウラン鉱石に含まれていることもありますが、単体としては自然界に存在していません。地殻中には銀の400倍もの量が存在していると言われており、アポロ11号が持ち帰った月の石にはイットリウムが多く含まれていました。

また、多くの生物の中にイットリウムが存在していますがその役割はまだ解明されていません。人の場合、肝臓・腎臓・脾臓・肺・骨にイットリウムが多く見られます。また、新鮮な作物のも含まれており特にキャベツには多く含まれることがわかっています。

イットリウムの用途を紹介しましょう。

ユウロピウムイオンを添加した酸化イットリウム・二酸化硫化イットリウムなどは蛍光体であり、ブラウン管のカラーテレビにて赤色を出すために使われています。また、イットリウムの化合物はプラスチック製品に利用されているポリエチレンを製造する際の触媒として使われています。金属としてのイットリウムは高性能な点火プラグの電極として、さらにランタンの燃料としてプロパンを使うものにはガスマントルの製造に使われており、私たちの日常に身近に存在する元素をいうことができます。

人工的なガーネットを製造する際にもイットリウムが使われています。人口ガーネットは高性能マイクロ波電子フィルタとして音響エネルギー発信機・変換器として使用されています。宝石としては模造ダイヤとしてイットリウム・アルミニウム・ガーネットが使用されます。イットリウム・アルミニウム・ガーネットにセリウムを添加したものの結晶は、白色LEDの蛍光体に使用されています。

イットリウムをアルミニウムやマグネシウムの合金に添加することで合金の強度が増します。また、合金にイットリウムを添加することで結晶が緻密化するため、合金の加工性が上がります。イットリウムの添加によってより強固な酸化被膜が形成され、高温な状況の元でも合金の再結晶・酸化・酸による腐食が起こりにくくなります。コバルト・鉄との合金は永久磁石となります。

イットリウムには放射性の同位体が存在し、医薬品として悪性リンパ腫、白血病、子宮や結腸直腸・骨などのがん治療に使われています。