原子番号60:ネオジムの特徴や性質

ランタノイド

原子番号60はネオジム、元素記号はNdです。元素名はギリシャ語で新しいを意味する単語と昔に1つの元素だと考えられていたジジミウムを合成して命名されました。ネオジムはジジミウムから発見されたため、「新しいジジミウム」という意味でネオジムという元素名が付けられました。

常温常圧の状態では銀白色の金属で複六方最密充填構造ん安定した毛sh層構造を持っています。常温に置いておくと表面が酸化し、高温になって燃焼すると淡い赤紫色の酸化ネオジムになります。

ネオジムはイオン吸着型鉱の鉱石から採れます。元々は別の鉱石が風化されることで、その鉱石に含まれていたレアアースが水に溶けてイオン化し、そのイオンが粘土に吸着することで集まったのがイオン吸着型鉱です。水と天然の濃縮過程によって造られた自然の産物です。

主な産出国は中国です。日本に流通しているネオジムのうち約8割が中国から輸入されたものです。中国ではネオジムを含むレアアースの多くが産出されていますが、枯渇が懸念されておりネオジムの輸出量を管理し、制限する動きも高まっています。そのため、価格も高騰しているためリサイクルも活発化しています。

ネオジムの名前は近年「ネオジム磁石」でよく耳にします。磁石といえば通常は酸化鉄を利用して作られたフェライト磁石が一般的です。U字磁石・ホワイトボードに使うマグネットなど、とても身近です。ネオジム磁石はそのフェライト磁石より10倍以上もの強力なパワーを持っているのが特徴です。その強力な磁力はディスクドライブやビデオデッキなどの超小型モーターやスピーカーの部品として不可欠なものとなっています。

ガラスにネオジムの酸化物を混ぜこむことで、可視光線のうち黄色系統の光を吸収するものの他の色の光を透過する性質を持つようになります。そのため、ガラスの着色剤として使われます。ネオジムを混ぜたガラスを使用したレーザーには出力が大きくなるという特徴があり、レーザー核融合の実験装置にも使われています。

ガーネットの結晶・イットリウム・アルミニウムを媒体としたYAGレーザーの添加物としてもネオジムは利用されています。ネオジムを添加したYAGレーザーは寿命が長く効率も良いという優れた特性があり、半導体の製造・手術で使うレーザーメス・スポット溶接・彫刻など幅広く使われています。

ネオジムの産出量の問題から、ネオジムに代わる原料を使った磁石の開発も進められています。2016年にはレアアーズを使用しない磁石が開発され、実用化にも成功しています。人工的に合成された化合物を使った磁石はネオジム磁石と同じくらいの磁力を発揮していますが、ネオジム磁石自体も高い磁力を持っているため、まだまだ利用範囲が広がっていくことが予想されます。