原子番号3:リチウムの特徴や性質

アルカリ金属

原子番号3はリチウム、元素記号はLiです。「リチウム」という名称は、鉱石の中から発見されたことにちなんで、ギリシア語の「石」を意味するlithosから発見者のイェンス・ベルセリウスが名づけました。

リチウムが発見されるまでに見つかっていたアルカリ元素(ナトリウム、カリウム)は動植物に含まれていましたが、リチウムは同じアルカリ元素であるにもかかわらず鉱石から発見されたことが大きかったようです。

リチウムは金属で銀白色をしています。金属元素の中で最も軽く水に浮かびます。また、軟らかいという特徴があり、その軟らかさはナイフでも切ることができるほどです。(金属としてはナトリウムよりも硬いです)

常温常圧の状態では体心立方格子という立方体の構造をしています。融点が180℃、沸点が1330℃とアルカリ金属元素の中では一番高い物質となっています。比熱容量が固体元素の中で最大で、その特徴を生かして冷却剤としても利用されます。

地球上に広く分布していることがわかっていますが、いろいろなものに反応してしまうためリチウム単体としての存在は確認されていません。地殻の中で25番目に多い元素でその多くはアンデス山脈沿いにあり、チリが最大の産出国になっています。海水中にも多くのリチウムが含まれており(約2300億トン)、海水からリチウムを回収するための研究開発が進められているところです。

リチウムの用途として今一番身近なのが、電池への利用です。リチウム電池はすでに多くの方が利用しているのではないでしょうか。リチウム電池は高い電圧を得ることができ、水分がない電解液を使用できるため低温の環境でも利用できるのが特徴です。そのため、カメラ・釣りの浮きなどにも利用されています。

ノートパソコン・携帯電話・自動車用バッテリーなどで使用されるリチウムイオン電池は充電式になっています。ニッカドやニッケル水素を利用した充電式の電池に比べると軽量で持続期間が長いという特徴があります。

リチウムが一番多く利用されているのが、陶器やガラスなどの窯業です。急激な温度変化に強いという特徴が生かされています。陶器の分野では耐熱性の高い土鍋やグラタン皿などの製造時に陶土に混ぜて使われています。
ガラスの分野では耐熱ガラス・光学ガラスに配合されています。強度・耐熱性があるにもかかわらず金属より軽くプラスチックより重いという特徴のあるセラミックにもリチウムが使われています。

重水素化リチウムは水素爆弾の初期において、原子核融合を起こさせる燃料として使われていました。また原子炉でも核融合の中性子吸収剤として使われます。

一方で医療用の炭酸リチウムは躁鬱病・躁病の患者に薬として処方されます。