原子番号7:窒素の特徴や性質

卑金属元素

原子番号7は窒素、元素記号はNです。地球を覆っている大気の中の成分のうち約78%が窒素です。窒素の中に生物を入れると、窒息して死んでしまいます。そのことからドイツ語で「窒息させる物質」という呼ばれ方をし、それを略して日本語でも「窒素」という呼ばれ方をするようになりました。

このような窒素の特性を知ると、とても怖い物質のように思えますが、生物が必要とするアミノ酸やタンパク質などにも含まれており、とても需要な物質となっています。植物にとっても窒素はリン酸・カリウムとともに肥料の三大要素のうちの一つです。

常温常圧の状態では無色無臭の気体ですが、約マイナス196℃まで冷却することで液体になります。近年テレビ番組などで見ることができる、バラの花などを握っただけで粉々にできるほど冷やしているのが、液体窒素です。

窒素の分子自体は安定した状態のため、生物は大気の中にある窒素分子をそのまま利用することができません。微生物などが作り出した窒素化合物を摂取して体内に窒素を取り込んでいます。取り込まれた窒素化合物は、再度微生物によって脱窒が行われ、大気中へと放散されています。これは「窒素循環」と呼ばれるサイクルとなっています。

窒素は常温の状態では化学的に不活性なため、いろいろな分野でその特性を生かして活用されています。

◎冷凍食品

電子レンジで解凍することで、手軽に美味しい料理を食べることができる冷凍食品ですが、調理された食品を急速に凍結するために「液化窒素」が使われています。

◎酸化防止

コーヒーやスナック菓子などは酸素に触れて酸化すると、風味や品質が劣化してしまいます。そのため、長い間「酸化防止剤」が利用されてきましたが、近年はパッケージの中に窒素を入れることで酸化を防止しています。

◎アルミ缶

アルミニウムで作られた缶はとても薄く、簡単につぶすことができます。ですが、飲料を入れた状態でつぶれやすいのは欠点になってしまいます。そこで、アルミニウム缶に飲料とともに充填されるのが窒素です。圧力で缶をつぶれにくくすることと、充填された飲み物の品質を保持するために役立っています。

◎冷凍保存

動植物の組織や人の精子・卵子、輸血用の血小板・移植用の骨髄や角膜などは液化窒素を使って冷凍保存をしています。極低温を維持して保存することができ、必要な時に解凍して利用することができます。

◎半導体の製造

現在の半導体にはシリコンが主に使われています。ですが、シリコンは空気中の酸素と化合して、あっという間に被膜を作ってしまい、加工ができなくなってしまいます。そのため、製造中のシリコン半導体に被膜ができないようにするために、窒素ガスの中で作業が行われています。