原子番号114:フレロビウムの特徴や性質

不明

原子番号114はフレロビウム、元素記号はFlです。元素名については、ロシアのドブナ合同原子核研究所のフリョロフ原子核反応研究所にちなんで命名されました。この研究所自体はロシアの物理学者であるゲオルギー・フリョロフにちなんで命名されています。

フレロビウムは1998年12月にロシアの原子核物理学者ユーリイ・オガネシアンが率いるドブナ合同原子核研究所のチームが、プルトニウム244のターゲットに加速したカルシウム48をぶつけることで合成されました。この実験で生成されたのはフレロビウム289で、30.4秒の半減期でアルファ崩壊していくたった1つの原子でした。

114番元素については、1998年以前にも実験が行われていましたが生成原子の分離・検出する精度を上げ、ターゲットにより強くぶつけることを実現させることでようやく生成にこぎつけました。予測されていたフレロビウムの半減期は2~23秒でしたが、予測以上に長く存在できるものが合成されたことになります。

その後、1999年3月に同じチームがフレロビウムの同位体を作る実験を行い、2つのフレロビウムを生成しました。半減期が5.5秒しかなく、どの核ができたのかはわかっていません。2009年1月にはバークレーで、2009年7月にはドイツの重イオン研究所にてフレロビウムが確認され、2011年にようやく国際純正・応用化学連合(IUPAC)が1999年~2007年のドブナのチームによる実験を評価したことで、114番元素が発見されたと公式に認定されました。

フレロビウムという名称が決まるまでは、メンデレーエフの命名法に基づいて「エカ鉛」や系統名で「ウンウンクアジウム」と呼ばれていました。フレロビウムという名称が正式に決まったのは2012年5月のことです。

超アクチノイド元素の中でも半減期が長い部類に入るため、他の超アクチノイド元素に比べると化学的な性質がわかっています。フレロビウムは第7周期の元素で最も重い第14族に属していますが、第14族元素としては意外なことに揮発性を示しました。さらに貴ガスに似た性質も見られたと報告されています。

フレロビウムと金の反応はコペルニシウムと金の反応に似ていて、標準状態でも気体になるほど揮発性が高いことがわかっています。ですが、同時に金属の性質もみられ、第14族では一番反応性が低い金属ともいわれています。

フレロビウム298は二重魔法数を持っているため、長い半減期を持つと予測されていますが、残念ながらまだ計測には至っていません。