原子番号102:ノーベリウムの特徴や性質

アクチノイド

原子番号102はノーベリウム、元素記号はNoです。元素名については、ダイナマイトの開発者であるスウェーデン化学者ノーベルにちなんで命名されています。ノーベルは自身が開発したダイナマイトで巨万の富を得ましたが、その資産を基金としてノーベルの死後に「ノーベル賞」が授与されることになりました。現在でも受賞者の決定が大きな話題になる、あのノーベル賞の生みの親の名前が付いた元素ということです。

ノーベリウムの化学的な性質については完全にはわかっていません。粒子加速器でより軽い元素に荷電粒子をぶつけることで生成することができます。ノーベリウムの同位体は現在12個の存在が知られています。最も半減期が長く安定しているのがノーベリウム259で半減期は58分です。半減期が3.1分しかないノーベリウム255は、ノーベリウム259よりも大きな規模で生成することができるため、化学の分野ではノーベリウム255が一般的に使用されています。

ノーベリウムの発見については1950年代・1960年代にスウェーデン・ソ連・アメリカの研究所からそれぞれの発見の経路が主張されています。厳密にいつ、どの国の研究所から発見されたものが世界初のノーベリウムの発見であるかはいまだに判定が下っていませんが、完全に異論のない状態でノーベリウムが検出できたのは1996年のソ連(当時)にあったドゥブナ合同原子核研究所のものだとされています。

初めてノーベリウムが発見されたかもしれないのは、1956年のモスクワ(ソ連)でギオルギーが率いていた研究チームです。当時開発されたばかりだった重イオンビームの技術を使ってプルトニウム241に酸素16をぶつける実験で102番元素が作り出された可能性がありました。当時、新しい元素と思われた物質には「ジョリオチウム(Jo)」という名称が使われようとしていましたが、データが不確かなものだったので広く知れ渡ることなく済みました。

1957年7月にはスウェーデンのノーベル研究所の研究チームがキュリウム244と炭素13を融合させて102番元素を見つけたと主張します。この時発見された物質は「ノーベリウム(No)」と呼ばれ、瞬く間に広く知れ渡りました。しかしながら彼らの主張を裏付ける再現がされず、新しく発見した元素がメンデレビウムの同位体である可能性が排除できなかったため、認められることがありませんでした。

1960年代に入ってからもギオルギーの研究チームの研究が続き、ノーベル研究チームの発見が有効ではない、との説が主張されたりしました。

1990年初めになって改めて全ての超フェルミウム元素の発見について審査のし直しが行われました。その際には、1966年のソ連の研究チームの報告がノーベリウム発見の有力なものであると結論付けられました。