原子番号109:マイトネリウムの特徴や性質

不明

原子番号109はマイトネリウム、元素記号はMtです。元素名についてはオーストリアの物理学者リーゼ・マイトナーにちなんで命名されました。

マイトナーはプロトアクチニウムを発見した化学者で、ウランの核分裂に関する論文を初めて発表した人物です。アインシュタインが残した有名な「E=mc2」の式から核分裂で膨大なエネルギーが得られることを予測した人物としても知られています。

マイトネリウムは1982年8月にドイツの重イオン科学研究所の加速器を使い、ビスマス209に鉄58イオンをぶつけることで発見されました。この実験に参加したのはともにドイツの化学者であるペーター・アルムブルスターやゴットフリート・ミュンツェンベルクらです。この実験で作られたのはマイトネリウム266と中性子でした。

マイトネリウム発見に至った実験では、1週間の間継続してビスマスと鉄をぶつけていたようですが、生成されたマイトネリウム266の半減期は1.2ミリ秒しかなく、マイトネリウムの詳しい性質については現在でもわかっていないことが多くあります。イリジウムに似た性質をしているのではないかと考えられています。

周期表では第7周期の9族に位置し、遷移金属元素に分類されます。超ウラン元素かつ超アクチノイド元素です。

「マイトネリウム」という正式な名称が決められたのは1997年で、それまでの間は「ウンニルエンニウム」と呼ばれていました。

常温常圧の状態でのマイトネリウムは固体(金属)であると推定されています。また、常磁性を持っており面心立方構造の結晶を持っていると予測されます。

15の同位体の存在がわかっていますが、最も半減期の長いマイトネリウム278の半減期ですら7.6秒しかないので、マイトネリウムの詳しい性質が明らかにされるのは難しいと考えられます。ちなみに最も短い半減期を持つのは、マイトネリウム266です。

マイトネリウムはアルファ崩壊をしてボーリウム274になることがわかっています。生成も微量でしか行われていないため、その用途は科学研究のためでしかありません。人工的に作られた元素のため、自然界や生物学的な役割を持っているわけでもありません。また、放射性のある物質であるため、自然界や生物への影響があることも考えられています。

一方でマイトネリウムの化学的な性質が貴金属と似ていると考える説もあるため、大量に生成できるようになれば放射性物質であっても比較的安全に取り扱いができる物質となる可能性があります。