原子番号97:バークリウムの特徴や性質

アクチノイド

原子番号97はバークリウム、元素記号はBkです。元素名については、初めてバークリウムが合成されたアメリカ・バークレー校にちなんで命名されました。

常温常圧の状態では銀白色をしたやわらかい金属で、六方最密充填構造の安定した結晶構造をしています。安定同位体は存在しないので天然にも存在せず、全てが放射性となっています。物理的・化学的な性質の詳細は分かっておらず、情報のうちの多くが推定に基づいたものとなっています。高い温度で簡単に酸化し、薄い鉱物酸にも簡単に溶ける金属であると考えられています。

バークリウムが発見されたのは1949年、アメリカの化学者シーボーグがトンプソンやギオルソとともにアメリシウム241にアルファ粒子をあててバークリウム243を作りました。アクチノイド元素のほとんどが、1949年のシーボーグらの実験により発見されています。これらの実験に使われたのが、イオンを加速するための円形加速器の一種であるサイクロトロンです。

バークリウムの純粋な化合物が合成されたのは1962年で、10億分の3グラムというごくわずかな量の塩化バークリウムでした。

バークリウムには19の同位体があり、質量範囲は235から254までとなっています。比較的安定している同位体はバークリウム247で半減期が1380年、バークリウム248は半減期が9年、バークリウム249は半減期が320日で、残りの同位体については半減期が5日未満です。

バークリウムについては強い放射線を持っていることと半減期が短いゆえに崩壊が早いことを理由に科学的な性質を調べることが困難です。発見から研究が進められてきましたが、2016年に発表された論文によりバークリウムの性質が少しわかりました。

M.A.Silverの研究チームが、通常の研究で使われるバークリウムの1000倍にも相当する13㎎のバークリウム249をアメリカのエネルギー省から支給され、実験を行いました。支給されたバークリウムは7800億ベクレルもの放射能を持っており、ベータ線を放出しながら1週間におよそ1.2%がカリホルニウム249に変化することがわかりました。

バークリウム239が放出するベータ線よりもカリホルニウム249が崩壊の際に放出するガンマ線の方がはるかに危険で、化合物を作っても化合物自体が分解してしまうという結果に直面します。Silverら研究者は構造解析や光学データを24時間以内に調べる技術を開発し、バークリウムの配位子を調べました。

バークリウムはほかのアクチノイド系の元素と同じように人体の中に蓄積することがわかっています。放出する放射能が強すぎるため、基礎研究以外では用途がない状態です。