原子番号70:イッテルビウムの特徴や性質

ランタノイド

原子番号70はイッテルビウム、元素記号はYbです。元素名はイッテルビウムが発見されたスウェーデンの小さな町の名前にちなんで名づけられています。

1794年に採掘されたガドリン石から発見された元素が、まずは「イットリウム」と命名されます。そこで命名されたイットリウムと思われていた物質から2つの新しい元素(テルビウム・エルビウム)が分離されたのが1843年です。さらに1878年にはエルビウムと思われていた物質から発見されたのがイッテルビウムです。

新元素が発見されたガドリン石の採掘場がイッテルビー(Ytterby)という町だったため、4つの新元素の名前がイッテルビーにちなんで命名されています。この4つの元素名はとても似通っており、間違いやすいものとなっています。

常温常圧の状態では銀白色の金属で、面心立方構造の安定した結晶構造を持っています。空気中に置いておくと表面が酸化しますが、内部までは侵されず、水はゆっくりと溶け酸・液体のアンモニアにも溶けるという性質があります。水素・ハロゲンとは反応します。

イッテルビウムが産出されるのはゼノタイム・ガドリン石・モナズ石・バストネス石・フェルグソン石などです。

イッテルビウムはガラスに添加すると黄緑色の色がガラスにつくため、ガラスの着色剤として使われます。また、鉄鋼やマグネシウムなどの合金に少量を添加すると、合金が強くなることがわかっています。これはイッテルビウムが合金の中に含まれる硫黄などの不純物をとらえる役割があるためではないかと考えられています。

イッテルビウムをYAGレーザーに利用した、イッテルビウムYAGレーザーについても研究開発が進められています。一般的に使用されているネオジムYAGレーザーにはネオジムYAG結晶が使われていますが、イッテルビウムYAG結晶はネオジムYAG結晶に比べるとはるかに大きな吸収帯域を持っています。

イッテルビウムYAGレーザーは蛍光寿命が短いため出力が高くなり、発熱率が低いという特徴があります。さらに蛍光スペクトル幅が広く超短パルスの光を発生させることができ、レーザーの発振波長と励起光の波長が近いことから高効率のレーザー発振が可能になります。

これまでのYAGレーザーではなかなか実現できなかった高効率・超短パルス・高出力の3つの特性を同時に実現することができるとしてイッテルビウムYAGレーザーが注目をされています。