原子番号92:ウランの特徴や性質

アクチノイド

原子番号92はウラン、元素記号はUです。元素名については、ウランが発見されたのと同時期に発見された天王星(Uranus/ウラヌス)に由来しています。また、ウラニウムとも呼ばれることがありますが、これはウランという名前にラテン語で金属元素を意味する語尾である「-ium」がつけられたものです。

常温常圧の状態では銀白色をした金属で、斜方晶の安定した構造を持っています。単体では反応性が高く、粉末を空気中に置いておくと空気中の酸素によって発火します。また、ウラン単体を水中に入れると、ウランが水から酸素を奪うため水素ガスが発生します。

地球上に天然に存在している元素のうち、存在している量が多く原子番号と原子量が大きいものがウランとなります。ウランには多くの同位体があることがわかっていますが、そのすべてが放射性核種であり、1つとして安定核種が存在していません。地球上では安定した状態で存在することができない元素となっています。

とはいえ、ウラン238は半減期が約44億6800万年・ウラン235は半減期が約7億380万年と長いため、地球上の天然放射性物質として存在しています。ウラン234は半減期が約24万5500年と比較的少ないにもかかわらず、現在でも存在が確認されています。これは、ウラン238が鉛206に変化する過程にウラン234が属していることに関係しています。ウラン238は半減期が短くても、ウラン238が存在する限り地球上からなくなることはありません。また、ウランの同位体は半減期がまちまちなため、同位体の存在比は少しずつ変化をしています。

天然ウランは閃ウラン鉱・人形石・燐灰ウラン石などから産出されます。地球上の存在量はスズと同じくらいと考えられます。主な産地としてはオーストラリア・カナダ・カザフスタンなどがあります。日本では岡山県と鳥取県の県境にある人形峠にある鉱床や岐阜県土岐市の東濃鉱山がウランの採掘対象になったことがありますが、採算があうほどの埋蔵量ではなかったため実際に稼働することがないまま閉山となりました。

ウランは核燃料として核兵器に使われることがあります。これはウランに核文れるとさせることで発生するエネルギーを利用しています。核燃料や核兵器に使用されるのはウラン235です。核分裂の連鎖反応を生じさせることができるウラン235は、原子力発電や核兵器に利用されます。

金属としてのウランは比重が高いためバラストとして使われたことがあります。さらに砲弾に添加することで強度が増すため、徹甲弾の威力を増やすためにも使われます。また、ガラスにごく微量を混ぜることで着色剤として使われます。ウランが混ぜられたガラスは蛍光の緑色をしています。蛍光材としても使われました。