原子番号11:ナトリウムの特徴や性質

アルカリ金属

原子番号11はナトリウム、元素記号はNaです。ナトリウムという名称は天然の炭酸ソーダを意味するギリシャ語やラテン語からきていると言われています。また、日本では分野によって呼び方が異なり、医薬学・栄養学では「ソディウム」、工業で化合物に関する分野では「ソーダ」と呼ばれます。

ナトリウムは常温常圧の状態では光沢をもった銀白色の金属の状態で体心立方構造をしています。比重が0.97であり、水より軽い物質です。ナイフでも切ることができる柔らかい金属です。

他のものとの反応性が高く、酸・塩基には侵されやすく水とは激しく反応します。人が素手でナトリウムに触れると皮膚の表面にある水分と化合して水酸化ナトリウムになり、皮膚を侵します。また、アルコールなどとも反応しやすいため、消防法によって「第3類危険物」に指定されています。

熱伝導率が高いという特徴があり、高温でも液体で存在することができます。熱の伝えやすさとしては、鉄の約2倍・ステンレスの約10倍・水と比べると約100倍にもなります。この特徴を生かして高速増殖炉の冷却剤として使われています。また、高性能自動車エンジンにも熱伝導を向上させるために使われています。

ナトリウムには腐食力が弱いという特徴もあります。特にステンレス鋼との相性が良く、原子炉の容器内などでアルゴンガスを用いて空気とナトリウムが触れないようにすることで容器内が錆びることを防ぐのに役立てられています。

ナトリウムは生体にとっては大切な電解質の一つであり、人の細胞外液にはナトリウムが不可欠です。神経細胞・心筋細胞と言った電気的な興奮で活動する細胞にとっては細胞の内外にあるナトリウムイオンの濃度差が重要になってきます。そのため、ナトリウムイオンを多く摂取してしまうと濃度差を調整するために体に水分を貯留しようとしてしまい、高血圧の原因になります。

塩分の摂りすぎを気にしすぎて低塩分の食事を続けても、摂取不足に陥ることはありません。ですが、体液保持のためやナトリウムの損失が多くなった場合には低ナトリウム血症を起こしてしまうことがあります。低ナトリウム血症になった場合には、頭痛・吐き気・筋肉のけいれん・疲労・方向感覚がわからなくなる・失神などの症状が出ます。さらに合併症として脳水腫・脳卒中などを起こすこともあるので注意が必要です。

純粋なナトリウムは塩が溶けている液を電気分解することで製造することができます。原料は海水で十分なため、安く大量に生産することが可能になっています。