原子番号106:シーボーギウムの特徴や性質

遷移元素

原子番号106はシーボーギウム、元素記号はSgです。元素名についてはアメリカの化学者・物理学者であるグレン・シーボーグにちなんで命名されました。

シーボーギウムが発見されたのは1974年、カリフォルニア大学バークレー校にあるローレンス・バークレー国立研究所で、ギオルソらの研究チームによるものですが、同じ年にソ連のドブナ合同原子核研究所でも発見されていたという説もあるようです。

正式な名称が決まったのは1997年と、発見から23年後のことです。正式な名称が決まるまでは系統名を使ってウンニルヘキシウムと呼ばれていました。シーボーギウムの名称が提唱されたのは1994年でしたが、当時はまだシーボーグが存命中だったため「存命の人物名を元素名に使うのは適当でない」と却下された経緯があります。

しかしながら、提唱元であるアメリカがシーボーギウムの名前を譲らなかったため、1997年に正式名としてシーボーギウムが採用されました。命名当時は存命の人物にちなんで命名された初の元素となりました。シーボーグは新元素が命名された2年後、1999年に86歳でこの世を去っています。

なぜアメリカがシーボーグの名前を新元素に推したのか、は彼の功績にあります。シーボーグはアクチノイド系列の元素の名づけを行い、同系列の元素の半分以上を発見しています。具体的には94番元素のプルトニウム、95番元素のアメリシウム、96番元素のキュリウム、97番元素のバークリウム、98番元素のカリフォルニウム、99番元素のアインスタイニウム、100番元素のフェルミウム、101番元素のメンデレビウム、102番元素のノーベリウムです。

これだけの功績があるため、1951年にはノーベル化学賞も受賞しています。

他の超重元素と同じく、半減期がとても短いうえに生成される数が少ないため、わからないことが多い元素となっています。常温常圧の状態では光沢のある銀白色をしており、物理的・化学的な性質はタングステンに似ていると推定されています。

シーボーギウムが1974年に発見されて以来、実験に利用できるシーボーギウム265が1時間に1個程度しか生成されないうえに、その寿命が10秒ほどしかなく満足な研究をすることができませんでした。

しかし、2014年には日本の理化学研究所と日本原子力研究開発機構によって、シーボーギウムの有機金属錯体が化学合成されました。その揮発性に関する化学データが国際共同研究グループによって研究され、シーボーギウムが周期表の第6族元素に共通する特徴的な化学的性質を持つことが実証されました。