原子番号104:ラザホージウムの特徴や性質

遷移元素

原子番号104はラザホージウム、元素記号はRfです。元素名についてはニュージーランド生まれのイギリスの物理学者アーネスト・ラザフォードの名前に由来して命名されました。ラザフォードはアルファ線・ベータ線を発見し、原子の中心部に原子核が存在することを解明した人物です。

ソ連ではイーゴリ・クルチャトフにちなんだ「クルチャトビウム」と呼ばれたり、系統名で「ウンニルクアジウム」と呼ばれたりすることもありましたが、1997年に国際純正・応用化学連合(IUPAC)が正式名称としてラザホージウムと承認しました。日本でも「ラザフォルジウム」や「ラザフォージウム」という表記がされたことがありますが、現在はラザホージウムとなっています。

ラザホージウムは1969年にアメリカのカリフォルニア大学バークレー校においてギオルソらの研究チームがカリホルニウム249に炭素13を当てて作り出しました。(1964年にソ連のドゥブナ合同原子核研究所が発見したとの報告もあり、ソ連独自の呼び名があったと考えられます)

安定した核種は存在せず、化学的な性質はジルコニウム・ハフニウムに似ていること、フッ素とは反応しにくいことがわかっています。常温常圧の状態でのラザホージウムは、固体で銀白色をしていると推定されています。

周期表上104番元素となるラザホージウム以降の元素は「超アクチノイド元素」とも呼ばれ、「超重元素」と呼びます。周期表ではそれぞれの元素が化学的な性質(電子の状態)が周期性を持つことに着目して並べられており、同じ族の元素は似た性質を持つとされています。ですが、超重元素になると原子の中心にある原子核の正電荷が大きくなりすぎて電子構造が特異な性質を示す可能性があります。

超重元素は全て放射性の元素で、加速器を利用した重イオン核融合反応で生成されますが、生成率がとても低く寿命が短いために1度に1つの原子の状態でしか扱うことができず、その性質を研究することが難しくなっています。

しかし、日本国内で大阪大学の笠松講師・理化学研究所の羽場チームリーダー・森田グループディレクターらの共同研究グループがバッチ型の加速器オンライン固液抽出装置を開発、これによりラザホージウムの抽出挙動の時間依存性を観測することに成功しました。これは超重元素の平衡到達の様子を世界で初めて確認できた研究です。

理化学研究所の仁科加速器研究センターの大強度重イオン加速器を利用することでラザホージウムを合成し、平衡状態にあるラザホージウムの塩化物錯体の抽出率を同族の元素であるジルコニウム・ハフニウムと比較することに成功しました。そしてラザホージウムが同族の元素とは異なり安定した塩化物錯体を作り出すことがわかったのです。