原子番号94:プルトニウム

アクチノイド

原子番号94はプルトニウム、元素記号はPuです。元素名については、冥王星(pluto/プルート)にちなんで命名されました。これは原子番号92のウランが天王星、原子番号93のネプツニウムが海王星にちなんで命名されたことに影響を受けています。

常温常圧の状態では銀白色をした金属で、酸化により黄褐色になります。金属状態のプルトニウムは温度が上がると収縮するという特徴があります。安定した結晶構造は単斜晶ですが対称性が低いため、時間が経つにつれて脆くなっていきます。プルトニウム塩水溶液は酸化数と配位する陰イオンの種類によって、青紫色・黄褐色・ピンク色・オレンジ色・暗赤色などに変化します。

表面に酸化被膜を作ることで、酸化性の硝酸・濃硫酸には溶解しませんが、酸化性のない塩酸・希硫酸などには溶解します。粉末の状態で湿度の高い大気中に置いておくと自然発火する可能性があるとされています。

天然に存在するプルトニウムはごく微量で、ウラン鉱石(閃ウラン鉱・人形石・燐灰ウラン石など)の中に存在しています。ウラン鉱石中のウラン238が中性子の捕獲によってウラン239に変化、その後ベータ崩壊を2回繰り返すことでプルトニウム239が生成されます。この変化は原子炉内でプルトニウムを生成させるのと同じ反応です。さらに、太陽系が誕生する以前の超新星爆発によって生成されたプルトニウム244が痕跡量ながら残っています。これはプルトニウム244の半減期が8000万年と長いことが関係しています。

1972年には中部アフリカにあるガボン共和国にある天然原子炉で、比較的高濃度となる天然のプルトニウムが発見されています。天然のプルトニウムは水に溶けにくく、1000万立方メートルの純粋にプルトニウムの原子1つが溶ける程度であるとされています。

これまで紹介したプルトニウム以外のプルトニウムは人工的に生成されたものとなります。

プルトニウムは原子炉内でウランの核反応によって生成されますが、ここで得られたプルトニウム239は高速増殖炉の燃料として活用されることが研究されています。半減期が87年のプルトニウム238は原子力電池として実用化されています。プルトニウム238を使って作られた原子力電池は人の寿命と同じくらい電池交換の必要がなく使用できることから、埋め込み型の心臓ペースメーカーに利用されていたことがあります。(日本ではプルトニウム電源のペースメーカーは製造・使用ともに禁止されています)

1945年以降、約10トン分のプルトニウムが核実験によって地球上に放出されています。消化管から体内に吸収されるプルトニウムは約0.05%とされていますが、骨・肝臓に蓄積されます。気道から吸入したプルトニウムの微粒子は食道・肺・胸のリンパ節などに取り込まれます。現時点では動物実験で発がん性が認められていますが、人についてはまだ科学的に判断されていません。