原子番号78:白金の特徴や性質

遷移元素

原子番号78は白金、元素記号はPtです。プラチナ(platinum)とも呼ばれますが、この名称はスペイン人が白金を「ピント川の小さな銀(スペイン語でplatina del Pinto)」と呼んだことが由来になっています。日本語の白金というのは、プラチナがオランダ語でwitgoud(witが白、goudが金の意味)と呼ばれるものを日本語訳したものが使われています。

白金と表記すると、白い金と解釈でき英語に直訳するとwhite goldとなってしまいます。このため、アクセサリーによく使われるホワイトゴールドが白金(プラチナ)だと思う方も多いかもしれませんが、ホワイトゴールドは金がベースになった合金を表しているため、白金(プラチナ)とは全く別の金属となります。

常温常圧の状態では銀白色の光沢をもつ金属で、化学的に安定しています。酸に対しても強い耐食性があり、金と同様に王水以外に溶けることはありません。そのため、装飾品に使われることが多いですが、その埋蔵量は少なく、これまでに人類が産出してきた総量は約4000トンと言われています。これは、一辺が約6mの立方体に収まるほどの量で、とても稀少な金属となっています。

白金は天然白金として産出されるほか、クーペライト・スペリーライトなどの鉱物から得ることができます。主な産出国としては南アフリカ・ロシアが挙げられます。白金はレアメタルの中でも特に稀少で、地殻1トンの中から0.001gしか産出されません。そのため、高額で取引されています。日本では北海道の天塩川や石狩川、新潟県でもわずかな砂白金が発見されたことがあります。

白金と化学的に性質が似ている元素とともに産出されることから、白金を含めた6つの元素を白金族元素と呼びます。白金族元素は白金・パラジウム・ロジウム・ルテニウム・イリジウム・オスミウムの6元素です。

人類と白金のかかわりの歴史も古く、古代エジプトの第18王朝時代のファラオの装身具として白金が使われていたことがわかっています。また、エジプト・テーベにある女性神官・シェペヌペットの墓からは紀元前700年前後に作られたと考えられる、「テーベの小箱」と呼ばれる白金製品が見つかっています。不純物が多いながらも、テーベの小箱は現存する最古の白金製品としてルーブル美術館に所蔵されています。10世紀ころになると、南米でも白金が装飾具に使われていました。このころのものは純度が高く80%を超えており、精錬技術も高度であったことがわかります。

白金は純度の高いものは金と同じように宝飾品・通貨・投資の対象として幅広く利用されます。自動車の分野では排気ガスを浄化するための触媒としても利用されています。