原子番号28:ニッケルの特徴や性質

遷移元素

元素番号28はニッケル、元素記号はNiです。元素名はドイツ語の「悪魔の銅」を意味する言葉に由来して命名されています。これは、ニッケルの鉱石が銅鉱石に似ているにもかかわらず、銅が採れなかったためにそう呼ばれたと言われています。

常温常圧の状態では銀白色をしており、面心立方格子の安定した結晶構造をしています。鉄よりは弱いながらも強い磁性を持っており、腐食や酸にも強く他の金属との合金が作りやすく延性も高いことから、幅広い分野で利用されています。

小さな粒子状になると空気中で自然発火することがあり、細いニッケル線にすると酸素中で火花を出しながら燃焼します。ですが、粉末状では水素や窒素ガスを吸蔵するという特徴も出てきます。

地球上で5番目に多い元素と言われており、埋蔵量は豊富ですがその大部分は人類が到達できない地球の中心部に近いところにあると考えられています。ニッケルの産出地としては、ロシア・オーストラリア・インドネシア・カナダ・ニューカレドニアなどが挙げられます。

一方で地球上で見つかる鉄隕石の中からは数%という量でニッケルが含まれていることがわかっています。このため、岩石惑星を構成するうえで不可欠な元素として、宇宙規模では大量のニッケルが存在していると考えられます。

ニッケルには光沢があり耐食性が高いことから、装飾用のメッキに使われることが多くあります。また、通貨(硬貨)の原料にもよく使われます。日本では現在、50円硬貨・100円硬貨が銅とニッケルの合金(白銅)となっています。(昔の10銭・5銭硬貨、50円硬貨は純ニッケル貨でした)アメリカの5セント硬貨も白銅が使われていますが、一般的には「ニッケル」という愛称で呼ばれています。

ニッケルは使い道が広く、各国が普段は硬貨として世間に流通させながら一定量のニッケルと保管しておき、何かあった際にニッケル硬貨を回収して別の用途(特殊な鋼や薬きょうなど)に使用できるようにしているという説もあります。

ニッケルが日常生活で利用されているのは、硬貨以外では「ステンレス」が挙げられます。ステンレスは鉄・ニッケル・クロムの合金ですが、ステンレスには約8~12%のニッケルが含まれています。

ニッケルを利用した電池(ニッケル電池、ニッケル・カドミウム電池など)には水酸化ニッケルが使用されています。また、一般的に知られているものとしては形状記憶合金にチタン・ニッケルが1:1で使われています。

ニッケルについて気を付けるべき点はアレルギーによる皮膚炎です。ニッケル、ニッケル塩に肌が直接触れることで皮膚炎を生じやすくなりますので、ニッケルを含む合金がメッキされたアクセサリーの取り扱いには注意が必要です。