原子番号103:ローレンシウムの特徴や性質

アクチノイド

原子番号103はローレンシウム、元素記号はLrです。元素名については、加速器であるサイクロトロンを発明したアメリカの物理学者アーネスト・ローレンスにちなんで命名されました。

キュリウムより重い元素の発見にはサイクロトロンがかかわってきたので、新元素の命名にその発明者の名前が使われるのは名誉なことですが、ローレンシウムの発見にはサイクロトロンは使われず、重イオン線型加速器が使われました。

ローレンシウムの発見は1961年、カリフォルニア大学バークレー校のギオルソらの研究によるものです。カリホルニウムにホウ素を照射することで人工的にローレンシウム258が作られました。

ローレンシウムには安定同位体は存在せず、12個ある同位体のうち半減期が一番長いのがローレンシウム262で半減期は3.6時間、初めて発見されたローレンシウム258は半減期が4.2秒と短く、ほとんどの同位体の半減期が3分未満となっています。また、生成される数も十分ではなく目に見えるほどの量も作ることができません。

これらの理由から、ローレンシウムの化学的・ブル知的な性質はほとんどわかっていませんが、原子価が+3価ということはわかっています。

103番元素が発見された当初、発見者らはLwという元素記号を提案していましたが、1963年に正式にLrを使うことが決まりました。ローレンシウムの発見からしばらくは104番元素が発見されなかったので、長い間「最後の元素」となっていました。(104番元素が見つかり、周期表に加えられたのは1997年です)

2015年4月には日本の国立研究開発法人日本原理力研究開発機構がローレンシウムのイオン化エネルギーの測定に世界で初めて成功しました。このことでローレンシウムがアクチノイド元素群の最後の元素となることが証明されています。

半減期が短く、なかなか研究が進んでいなかった超重元素ですが、日本原子力研究開発機構や欧州原子核研究機構などの研究チームは加速器でホウ素ビームをカリホルニウムに衝突させ、生成されたローレンシウムの粒子をヨウ化カドミウムのジェット気流に乗せることでイオン化する方法を考案しました。これによりローレンシウムのイオン化エネルギーを計測することに成功しました。

ローレンシウムがアクチノイド系であることは1940年代から推測されていたことですが、実験により確認できたのはこれが世界で初めてです。この実験により、超重元素について新たな発見もあったようです。