原子番号57:ランタンの特徴や性質

ランタノイド

原子番号57はランタン、元素記号はLaです。元素名はギリシャ語で「隠れる」という意味の言葉から命名されました。これは、ランタンがセリウムに隠れてなかなか発見されたなかったことに由来しています。1839年にスウェーデンのモサンダーが、師匠であるベルセーリウスが発見したセリウムの化合物を化学処理する中で、未知の元素があることを発見したのがランタンです。

常温常圧の状態では銀白色をした柔らかい金属で、複六方最密充填構造の安定した結晶構造をしています。

ランタンの鉱石としては、モナズ石・バストネス石があります。これらの鉱石を精製する中で得られるミッシュメタルと呼ばれるランタン・セリウム・ネオジウムが主成分の混合物は安価で入手することができます。これらはガラスの研磨剤・陶磁器の着色剤として利用されます。ミッシュメタルと鉄の混合物は別名を発火石と呼ばれるほど、衝撃で火花を生じるという性質を持っており、使い捨てライターの着火部分に使用されています。発火石の中にはランタンが約30%含まれており、身近に使われている元素の一つと言えるでしょう。

では、ランタンの用途を見ていきましょう。

酸化ランタンは透過率の高いレンズを作ることができるため、セラミックコンデンサや光学レンズの材料に利用されています。

フッ化ランタンは、紫外域の透過率・屈折率が優れているため、紫外耀の工学部材に薄い膜として使われることがあります。

ランタンとニッケルの合金は内部に大量の水素を貯めこむことができる「水素吸蔵合金」の一種です。水素吸蔵合金は水素を安全に保管できる素材として研究が進められています。ランタン・ニッケル合金は水素と酸素を反応させて電気と水を得る燃料電池に利用されています。また、充電が可能なニッケル水素電池のマイナス極にもランタン・ニッケル合金が使われています。ニッケル水素電池は充電にかかるスピードが速く、寿命も長く高性能な充電池です。デジカメや電動自転車・ハイブリッドカー・二足歩行で有名なロボット「アシモ」などに利用されています。

ランタンに関係する言葉としては「ランタノイド」というものがあります。これは「ランタンのようなもの」という意味があり、原子番号57(ランタン)から原子番号71(ルテチウム)までの15元素を指します。この15元素はとても良く似た化学的な性質を持っています。15元素の中で、ランタンの原子番号が一番小さかったことで「ランタノイド」という呼ばれ方をしています。