原子番号99:アインスタイニウムの特徴や性質

アクチノイド

原子番号99はアインスタイニウム、元素記号はEsです。元素名については物理学者のアインシュタインにちなんで命名されました。

常温常圧の状態では銀白色をした柔らかな金属で、常磁性・放射性があります。1952年12月に初めて行われた水爆実験(アイビー作戦)で出た爆発の破片の一部から発見されました。発見したのはカリフォルニア大学バークレー校のギオルソと共同研究者、アメリカのアルゴンヌ国立研究所とロスアラモス国立研究所との共同研究の場となっています。

ギオルソと共同研究者たちはろ紙を付けた飛行機を水爆実験でできた爆発雲の中を飛ばすことで、ろ紙についた物質の分析を行いました。また、実験現場となった環礁のサンゴの残骸からも多くの放射性物質が分離され研究が進められたことでアインスタイニウムが発見されました。

アインスタイニウムの同位体は全て半減期が短いため、地球が形成されている間に地球上に存在していたかもしれないアインスタイニウムは全て崩壊してしまっていると考えられます。地殻から天然のウランやトリウムを掘り出してアインスタイニウムを合成するためには複数の中性子を捕獲する必要があるため、自然には起こりえないと考えられます。このため、現在の地球上にあるすべてのアインスタイニウムについては、化学実験室や高出力原子炉・核実験などで生成されたもののみとなり、合成後は数年で崩壊して亡くなってしまいます。

半減期が約20日のアインスタイニウム253は専用の高出力原子炉でカリホルニウム253の崩壊から人工的に作られます。また、他のアクチノイドやそれらが崩壊してできる生成物から分離することでもアインスタイニウム253を得ることができます。アインスタイニウム253以外の同位体は重いアクチノイド元素に軽いイオンを当てることで合成することができますが、その量は少なく実用的な用途もありません。合成されたアインスタイニウムのほとんどは科学研究に使われています。

1955年には新しい元素となるメンデレビウムの17個の原子を合成するためにアインスタイニウムが使われました。

アインスタイニウムの安全性については動物による研究結果しか残っていません。ラットがアインスタイニウムを摂取すると、約0.01%が血中にとどまり、約65%は骨に蓄積されそこに約50年間存在することがわかっています。約25%は肺、0.035%が睾丸・0.01%が卵巣に蓄積されて体内に留まります。摂取したうちの約10%は排出されます。骨の表面には均一に分布します。

アインスタイニウムの同位体は半減期が短いのですが、生体内での物理的な半減期は約20年とされています。