原子番号112:コペルニシウムの特徴や性質

遷移元素

原子番号112はコペルニシウム、元素記号はCnです。元素名については地動説を唱えたことで有名なポーランド出身の天文学者コペルニクスにちなんで命名されました。

コペルニシウムが合成・発見されたのは1996年2月、ドイツのダルムシュタットにある重イオン研究所です。鉛208に重イオン加速器で加速した亜鉛70の原子核をぶつけることで、コペルニシウム277の原子核2つを生成することに成功しました。

その後、2000年と2004年にロシアのドブナ合同原子核研究所で、また2007年に日本の理化学研究所の仁科加速器研究センターで改めて実験が行われ、2009年に新元素として国際純正・応用化学連合(IUPAC)に認められることになりました。

正式な名称が決まったのは2010年2月で、それまでの間は「ウンウンビウム」という系統名で呼ばれていました。周期表では水銀の1マス下に位置することから、メンデレーエフの命名法にならって「エカ水銀」とも呼ばれていました。コペルニシウムという名称は元素の発見者となった重イオン研究所がコペルニクスが「人類の世界観を変えた、傑出した科学者に敬意を表したい」ということで提案しました。

コペルニシウムまでの元素で人名が元素名の由来になったのは、元素化学や核物理に関する人物名だったため、突然天文学者の名前が付けられた元素が誕生したことになります。

元素記号についても当初はCpが提案されていましたが、1949年までにドイツ語圏でルテチウム(Lu)の別名でカシオペイウムが使われていた際にCpが使われていたという経緯があり、混乱を避けるためにCnに変更されています。

コペルニシウムは周期表では第7周期の12族に分類されます。人工的に作られた放射性の元素のため、自然界には存在しません。同位体としては9つあり、一番安定しているのがコペルニシウム285で半減期は29秒でアルファ崩壊でダームスタチウムに変化します。

114番元素のフレロビウムがアルファ崩壊して生成されるコペルニシウム285については半減期が8.9分あるという報告もあり、まだまだ研究の余地がある元素といえます。コペルニシウム283も半減期は4秒ですが、他の元素からの崩壊で生成されたものは半減期が約5分あるとする実験結果があります。

現在のところ、コペルニシウムの用途については研究用途しかありませんが、研究が進んでいくにつれて新たな活用法も見つかるかもしれません。