原子番号6:炭素の特徴や性質

卑金属元素

原子番号6は炭素、元素記号はCです。現在ではダイヤモンドも石炭も同じ炭素からできていることが知られていますが、このことが分かったのは18世紀の終わりころです。

宇宙規模で見ると、炭素は元素の中でも6番目に多く存在していることがわかっていますが、窒素に比べると約半分ほどです。ところが、地球の大気をみてみると、窒素が80%もあるにもかかわらず炭素(二酸化炭素・メタン)は約0.03%しか含まれていません。地球の表面にある二酸化炭素は方解石に取り込まれてしまっていることがわかっています。

一方で地殻の中には多くの炭素が含まれており、そのうちの約9割が鉱物となっています。鉱物が還元されたものとして炭素粒・石油・石炭・天然ガスなどがあります。海洋中には炭酸という形で水に溶け込んでいますし、大気圏にも二酸化炭素があり、生物圏にも多く存在しています。さらに採掘しにくい形にはなりますが、シェールガスやメタンハイドレートなど、まだまだたくさんの炭素が地殻に存在することがわかっています。

炭素については、近年は化石や遺跡などがいつの年代のものかを知るために「炭素14法」という手法がとられています。これは、炭素14という炭素原子が5730年で変化する性質があることを利用しています。

地球上に存在する有機物にとっては、炭素はなくてはならない構成材料の一つです。人体では構成する元素のうち約18%が炭素だといわれています。人体を構成するタンパク質・脂質・炭水化物などの原子の過半数が炭素であり、光合成・呼吸など生命活動をしていくうえで炭素は重要な役割とになってくれています。地球表面の炭素が重量比で0.08%しかないことを考えると、生物はとても貴重な元素を使って存在していることがわかります。

炭素は単体・化合物に限らず、多様な形状を取っています。それぞれの硬度や形態も異なっており、幅広い性質をもっています。炭素単体で見るだけでも結合構造が異なるだけで、ダイヤモンド・グラファイト・ロンズデーライト・フラーレン・無定形炭素・カーボンナノチューブがあります。

ダイヤモンドは自然物としては世界一硬い物質としても宝石としても知られていますが、電気を通すことがない絶縁体です。ですが、グラファイト(黒鉛)は電気をよく通しますし軟らかく、鉛筆の芯に利用されています。一方で、カーボンナノチューブは自然物としては最も柔らかい部類に分類されます。同じ重さの鋼鉄と比較して約80倍もの強度を持っていますが、およそ60度の屈曲に耐えうる弾力性を持ち合わせちます。

単体でもこれだけの形態を持っているため、炭素についてはいろいろな化合物が発見されたり作られたりしてきました。これまでに確認されている炭素の化合物としては1000万種を軽く超えるほどと言われています。