原子番号18:アルゴンの特徴や性質

希ガス

原子番号18はアルゴン、元素記号はArです。元素名はギリシャ語の「怠惰な」「不活発な」を意味する言葉から命名されました。

常温常圧の状態では無色・無臭の気体です。最外殻電子数が8個ある「オクテット則」を満たしており、非常に安定した物質であり他の元素とは結合しにくいという特徴があります。高圧電場に置くと、ライラックの花のような濃い紫色の光を発します。

地球の大気中には窒素・酸素に次いで3番目に多く含まれています。その濃度は0.93%ですが、空気から液体酸素・液体窒素を生成する際にマイナス200℃近くまで冷却し、酸素から分留して作り出すことができます。このことから「空気分離ガス(エアセパレートガス)」と呼ばれます。

現在、大気中に存在するアルゴンは地球が誕生した時に地球に存在したカリウムが崩壊して放出されたものと考えられています。大気中のアルゴン40はそのほとんどが地球内部のカリウムから発生しており、その量は地球誕生時から少しずつ増えています。地球内部にはアルゴン36も存在しており大気中にも存在しますが、アルゴン40より少ない量となっています。宇宙ではアルゴン36が多量に存在しており、超新星爆発の際に元素合成が行われて生成されたことがわかっています。

アルゴンは、他の物質と反応しない特徴を生かして溶接に使われています。溶接では同じ不活性の性質を持つ炭酸ガスも使用されますが、高品位な溶接加工を必要とする場面ではアルゴンガスが使われます。

アルゴンに数%の酸素を含めた「アルゴンシールド」は自動車のボディなど薄い板を溶接する際に使われます。これは酸素が亜鉛メッキ鋼板を作成する時に作り出すピット(板に泡がついてメッキできない部分ができること)を抑制する目的があります。また、溶接の際に発生する溶滴が細かなためスパッタ(溶接の溶滴が作り出す跡)が発生しにくく、溶接が早くおこなえる・溶接の品質が良くなるということに貢献しています。

さらにIC・LSIといった集積回路に使われるシリコンウェハーを製造する際の雰囲気ガスとしても使用されています。アルゴンガスの不活性さが、高品質のシリコンウェハーの製造に役立っています。

また、私たちの生活に身近なステンレスを精錬する際にもアルゴンガスは使われています。ステンレスの精錬には大量のアルゴンガスが必要なため、製鉄所には深冷空気分離装置があり、その一部にアルゴン製造装置が組み込まれています。

一般的な水銀灯・蛍光灯・電球・真空管などの内部に封入されるガスにも、アルゴンが使われています。白熱電球ではフィラメントの蒸発を抑えたり熱の拡散を防ぎ、製品の寿命を伸ばしています。蛍光灯ではアルゴンと水銀により紫外部の光線を可視化しています。