原子番号61:プロメチウムの特徴や性質

ランタノイド

原子番号61はプロメチウム、元素記号はPmです。元素名についてはギリシャ神話に登場する、人類に人伝えたとされる神・プロメテウスにちなんんで命名されました。

常温常圧の状態では銀白色の金属で、複六方最密充填構造をしています。放射性があり、暗闇の中で青白色から緑色の蛍光に光るという特徴があります。そのため、夜光塗料として時計の針・文字盤などに使用されていたことがあります。プロメチウムから出されるβ線によって、硫化亜鉛が輝くという反応を利用していましたが、現在は安全性が問題視されており日本国内では使用されていません。また、蛍光灯のグロー放電ランプにも塗布されていました。これらの製品では、プロメチウムの代わりに亜鉛合金が使われるようになっています。

地球上の天然のプロメチウムについては、ウラン鉱石の中にごくわずかに存在することがわかっています。その量は地球全体で約780gと見積もられており、本当にごくわずかしかありません。これらのプロメチウムはウランが自発核分裂をして生成したと考えられています。プロメチウムの原子は放射線を出しながら別の元素へ変わっていくため、なかなか発見されないということもあります。他の元素への変化が最も遅いプロメチウム145でも半減期が17.7年のため、レアアースの中でも発見が最も遅くなってしまいました。

プロメチウムの発見についてはいくつかの説があるようですが、1947年にアメリカのマレンスキー、グレンデニン、コリエルらがウラン235の核分裂生成物を原子炉から取り出して、イオン交換法によって分離したというのが知られています。イオン交換法というのは、溶液に溶かしてプラスイオン化したレアアースをイオン交換樹脂に付着させ、溶離液の中を通す中で原子番号の違いによって生まれる移動の速さの違いを利用してレアアースを分離する方法です。このイオン交換法によって、純度の高いレアアースが簡単に得られるようになりましたが、コスト面での負担が大きくなり、現在は溶媒抽出法によって分離されるようになっています。

また、プロメチウムはネオジムに中性子線を照射することでも生成することができます。

プロメチウムが放射線を放つことを利用した製品の開発が進められています。アイソトープ電池(原子力電池)は放射線を電気エネルギーに変換することで、長時間使用することができます。この特徴を生かして、アイソトープ電池は宇宙船や埋め込み型の心臓ペースメーカーに利用できないか研究開発がおこなわれています。