原子番号40:ジルコニウムの特徴や性質

遷移元素

原子番号40はジルコニウム、元素記号はZrです。元素名は宝石のジルコンから命名されました。宝石のジルコンはアラビア語で金色を表す言葉から命名されていますが、ジルコニウムは常温常圧の状態で銀白色をしています。酸・アルカリに対して安定しており、耐食性もあります。空気中では酸化被膜が作られることで内部が守られます。高温の状況下では酸素・窒素・水素・ハロゲンなどと反応を起こしていろいろな化合物に変化します。

ジルコニウムの化合物は結合する物質によってその性質が大きく変わります。ジルコニウム化合物には電気伝導性・耐熱性・光学特性・機械特性・耐薬品性・生体適合性・触媒特性・電気特性などに優れたものがあります。

化合するものによって発色も変わるため、近年は色のついた結婚指輪としての需要も高まっています。ジルコニウム化合物は耐久性に優れているため、傷がつきにくいうえに退色などもなく長い間美しさを保つことができるということで人気もあります。長い間身に着けるものですから、耐久性に優れているという特徴は、結婚指輪に最適です。

ジルコニウムが多く含まれているケイ酸塩はオーストラリアや南アフリカで採掘されています。砂状になったケイ酸塩はジルコンサンドと呼ばれ、高温化でも高い強度を維持することができます。そのため、長年にわたって耐火材料として炉の内張り材として使われたり、金属を溶解するための巨大な取鍋・鋳型の製造などにも使われてきました。耐熱るつぼには融点が約2700℃にもなる酸化ジルコニウムが使われています。

世界的には年間25000トンもの純粋な酸化ジルコニウムが生産されており、化粧品・制汗剤・食品包装材料・模造宝石など幅広い分野で私たちの身近なところに使われています。超高強度セラミックスは強靭で耐熱性もあり、強化鋼よりも強く鋭いという特徴を持っています。この超高強度セラミックスにもジルコニウムが使われており、工業用の高速切削工具などにも使われています。この特徴を生かして、ナイフやハサミ・ゴルフクラブ・歯科用べニアなどにも使用されています。

ダイヤモンドと同じ立方晶の結晶構造をしたジルコニアは「キュービックジルコニア」と呼ばれ、ダイヤモンドよりも美しい輝きを放つと宝石の世界では人気があります。キュービックジルコニアにわずかな量のクロムを加えると緑、セリウムを加えると赤、ネオジムを加えると紫に変化するため、模造宝石として人気があります。

鋼にジルコニウムを添加することで強度が増し削りにくくなります。金属のジルコニウムには毒性がなく生体との適合性もあるため、外科用のインプラントや人工の器官にも利用されています。高温でも安定していることから宇宙船の材料にも使われ、大気圏への突入時に宇宙船を高温から守る役割を担っています。