原子番号91:プロトアクチニウムの特徴や性質

アクチノイド

原子番号91はプロトアクチニウム、元素記号はPaです。元素名については、崩壊してアクチニウムになることから命名されました。(プロトとはギリシャ語で「最も元の」という意味があります)

常温常圧の状態では銀白色をした金属で、安定した正方晶系の結晶構造をしています。酸素と反応すると表面が曇り、水蒸気とも反応します。酸には溶けますがアルカリには溶けません。展性・延性があり、化学的な性質がニオブやタンタルに似ているという特徴があります。

プロトアクチニウムは1871年にロシアの化学者メンデレーエフが91番元素の存在と性質を予言していました。ウランの崩壊で生じた核異性体を偶然発見しただけで、当時は「エカタンタル」と呼ばれていました。1917年にオーストリアの化学者リーゼ・マイトナーとドイツの化学者オットー・ハーンがプロトアクチニウム231を発見し、1961年には純度99.9%のプロトアクチニウムが作られるようになりました。

ウラン鉱石の中に微量に存在しており、ウランが崩壊する際にごく微量生成されます。ウラン鉱石以外には閃ウラン鉱や人形石・燐灰ウラン石などに微量含まれています。天然に存在しているプロトアクチニウムはほぼ100%がプロトアクチニウム231のため、単核種元素となっています。天然に存在しているプロトアクチニウムの同位体は4種であり、その他の同位体については人工的に作られたものです。

プロトアクチニウムには29個の放射性同位体があり、最も安定しているのがプロトアクチニウム231です。プロトアクチニウム231の半減期は32760年、プロトアクチニウム233の半減期は17.4日ですが、この2つ以外のプロトアクチニウムの半減期は1.6日以下と短くなっており、そのほとんどが1.8秒以下です。

質量数が最も安定しているプロトアクチニウム231以下のプロトアクチニウム同位体は主にアルファ崩壊をし、アクチニウムを崩壊生成物として作り出します。質量数が232以上のプロトアクチニウム同位体は主にベータ崩壊をし、ウランを崩壊生成物として作り出します。

プロトアクチニウムの用途は、存在量が少ないことと毒性が強いことが理由となりあまり多くありません。ですが、ウラン235がアルファ崩壊するときに生じるプロトアクチニウム231については、核燃料として使用されると考えられています。プロトアクチニウム231については、半減期を利用して海底にある沈殿層の年代測定のために利用されています。