原子番号15:リンの特徴や性質

卑金属元素

原子番号15はリン、元素記号はPです。その名称はギリシャ語で「光を運ぶもの」という意味の単語からつけられています。とはいえ、リンの外見はいろいろなものがあり、無色・黄色・真紅・赤・紫・黒だったりロウ状で白色をしているものもあります。

ロウ状の白リンは発火点が約60℃と低く、常温常圧の状態でも空気中にあれば些細なことで自然発火してしまいます。このため、水中で保存されています。さらに人などの肌に触れることでやけどを負ってしまうほど毒性も高いのが特徴です。

ですが、白リン以外の物質は安定しており強い毒性はありません。黒リンは黄リンに高圧(約12,000気圧)と高熱(約200℃)を加えることで得られますが空気中ではなかなか発火せず、リンの中では一番安定した物質となります。紫リンは赤リンと黒リンの混合物と考えられており、電気伝導性が低いという特徴があります。赤リンはマッチの原料としても使われており、リンの中では身近なものと言えるでしょう。

リンは化学肥料に配合される使われ方が一番多いと言われています。以前は過リン酸石灰や重過リン酸石灰として使われていましたが、近年はリン酸アンモニウム肥料が多く使われています。

人の体内におけるリンはミネラルの中で2番目に多い栄養素とされています。成人の体内には最大で850gものリンが含まれています。ケイ素が成人の体内に18gしか含まれていなかったことを考えると、その多さがわかります。

体内のリンのうち、約85%がカルシウム・マグネシウムとともに骨・歯を作り出す成分になっています。残りの約15%が筋肉・脳・神経など様々な組織に含まれており、エネルギーを作り出す際に役立っています。

人が摂取する多くの食品(魚類・牛乳・乳製品・大豆・肉類)にリンは含まれています。形態としては無機リンのリン酸があり牛乳に多く含まれています。加工された食品の場合はpH調整剤として無機リンが添加されていることもあります。有機リンはタンパク質・糖・脂質とリン酸が結合しており、血液中では約7割が有機リンです。

一般的な食生活を送っている限り、リンの摂取不足を起こす心配はありません。逆に、リンを多く含む食品添加物が加工食品・清涼飲料水などに使われているため、摂りすぎを心配する必要があります。カルシウムの摂取量が少なく、リンの摂取量が多くなるような食事が続いた場合には、骨量・骨密度が減る可能性があると考えられています。骨のためにとカルシウムを摂る際には、リンを摂りすぎないようにする必要があります。

腎不全を患っている場合には、リンを尿として体外に排出する力が弱くなり体内にリンが蓄積しやすくなります。さらにカルシウムの吸収を助けるビタミンDのはたらきが悪くなると腸でのカルシウムの吸収が悪くなるため、血液中のカルシウム濃度が低くなってしまいます。