原子番号42:モリブデンの特徴や性質

遷移元素

原子番号42はモリブデン、元素記号はMoです。元素名はギリシャ語で鉛を意味する単語に由来して命名されました。これはモリブデンの鉱物が鉛の鉱物に似ていたところからきています。日本でのモリブデンという名称はドイツ語が元になっています。

常温常圧の状態では安定した体心立法構造をもった、銀白色の硬い金属です。空気中では酸化被膜を作ることで、内部が保護されます。高温下で酸素・ハロゲンと反応をし、アンモニア水・熱濃硫酸・硝酸・王水に溶けるという特徴があります。

主な産出国はアメリカとチリですが、生産は中国がほぼ独占して行っています。中国はモリブデン・タングステン・レアアースに対して輸出税と輸出数量制限を課していましたが、日本・アメリカ・欧州の国々から提訴を受け、2015年に輸出税・輸出数量制限を廃止しています。

金属の中では融点が5番目に高く、プラチナよりも融点が高い高融点金属に属しています。融点多高いという点以外にも蒸気圧が低い・弾性率が高い・熱安定性が高いという特徴もあります。他の高融点金属と同様に熱膨張率が低い・密度が高いという特徴もあります。タングステンと似た原子構造・化学的特性を持っていますが、タングステンに比べると低温で展性が示されるため加工しやすくなっています。箱やメッシュ状など細かで複雑な形状にも加工をすることができます。

モリブデンと銅の合金には優れた温度特性と適度な導電性があり、ハイブリッドカーやロケットなどの電子基板に使われています。他には電子管の陽極や液晶パネルの製造ライン・太陽電池の下部電極などにも利用されています。

地球上のすべての生物においてモリブデンは必須の微量元素となっています。人では体重1㎏あたりおよそ0.1㎎含まれていると考えられており、骨・皮膚・肝臓・腎臓に多く存在していることがわかっています。体内では代謝・体内に入ってきた有害物質を分解するための酵素の成分として役立ってくれています。また、鉄分の働きを高めてくれ造血に関する作用があるため「血のミネラル」と呼ばれることもあります。

モリブデンを多く含む食材としては、豚や牛の肝臓・穀類・豆類・種実類が挙げられます。普段の食事から十分な量のモリブデンを摂取することができるので、モリブデン不足を心配する必要はありませんが不足すると頻脈や頭痛・嘔吐などが起きる原因となります。逆にモリブデンを摂りすぎてしまうと食品から摂取した銅の有効性を低下させてしまうので、摂りすぎには注意が必要です。(モリブデンには銅と高いの硬貨を打ち消しあう作用があります)モリブデンを過剰摂取しすぎると中毒症状を起こし、体重の低下・食欲減退・貧血・骨粗しょう症などが起きます。