原子番号25:マンガンの特徴や性質

遷移元素

原子番号25はマンガン、元素記号はMnです。元素名については、ラテン語で「磁石」を意味する単語にちなんでつけられていますが、日本語表記のマンガンということばはドイツ語の名称をそのままカタカナ表記にしたものとなっています。

常温常圧の状態では、銀白色をした金属です。安定した状態での構造は立方晶系であり、とても硬いのですが非常にもろい徳特徴があります。空気中では酸化被膜が作られるため赤みがかった灰白色に見え、内部が保護された状態になります。ですが酸にはすぐに溶けるという特性を持っています。

さらに、マンガンには反応性が高いという特徴があり、粉末になると空気中の酸素や水などとも反応をします。特にアルミニウムの粉塵とは激しい反応を示すことがわかっており、火災や爆発に至る可能性ももっています。

単体のマンガンはその名の通り磁性を持っています。他のものと合金になることでその磁性の強さが変わり、銅・アルミニウムとの合金である補遺スラー合金やビスマスとの合金は特に強い磁性を示します

マンガンが単体で産出されることはなく、その多くが二酸化マンガンやロードクロサイトとして産出します。ただしロードクロサイトは宝石としての価値もあるため、状態の良いものは宝飾品として利用されることになります。戦前には日本でも製鉄用にマンガンの採掘がおこなわれており、特に第二次世界大戦中には乾電池用として採掘されていました。その多くの鉱山は1970年代までに海外からの鉱山資源の輸入自由化の影響を受けて閉山となっています。現在は岩手県に宝飾品用の鉱山が残っているのみとなっています。

2017年の時点でマンガンを鉱石として生産しているのが多い国は、中国・南アフリカ・ガボン・オーストラリア・ガーナなどがあります。埋蔵量としてはウクライナ・アメリカが多いので、今後産出国の順位も変わってくることも考えられます。

ミネラルとしてのマンガンは人にとって必須元素のひとつとなっており、骨の形成・代謝などに重要な役割と持っており商家などを助ける働きも持っています。不足することで平衡感覚に異常が出たり、疲れやすくなる、糖尿病、骨の異常などが起きると言われていますが、一般的な食事を摂っている限り不足する心配はありません。

気を付けるべき点としては、マンガン鉱石を取り扱う工場の作業員やレンガ職人・交換製造業者などが過剰にマンガンにさらされてしまうことで中毒を発症してしまうことです。マンガン中毒になると頭痛・関節痛・眠気などから情動不安定・錯乱に至ります。パーキンソン症候群やジストニアの原因にもなりますが、マンガンにさらされなくなることで症状が消えていきます。