原子番号2:ヘリウムの特徴や性質

希ガス

原子番号2はヘリウム、元素記号はHeです。「ヘリウム」はギリシア語で太陽のことを意味する「ヘリオス」にちなんで名づけられていますが、これはヘリウムが発見された当時(1868年)にヘリウムが太陽を構成している元素だと考えられていたからです。

ヘリウムは無色無臭の気体で、ほかの元素とも科学的な反応を起こさないという特徴があります。地球の大気の中では約0.0005%しか含まれていませんが、宇宙規模で見ると水素に次いで2番目に多く存在する元素となっています。

地球上にヘリウムが見つかったのは、太陽でヘリウムの存在が見つかってから22年後の1890年です。ただし1890年当時はガスの正体が分かっておらず、そのガスがヘリウムだと判明したのはさらに5年が経った1895年のことになります。

ヘリウムは空気の7分の1以下の質量(重さ)しかなく、燃えることもありません。空気よりも軽いということで、風船や飛行船・観測用の気球などに利用されています。ヘリウムの原子はとても小さく、ゴムやガラスでさえも透過してしまいます。風船に入れたヘリウムがだんだんしぼんでいったり、浮力を失ってしまうのはガスが少しずつ外に出ているためです。

また、ヘリウムには水に溶けにくいという特徴もあります。そのことからヘリウムは潜水用の酸素ボンベに酸素と一緒に封入されます。これは、ダイバーが水中から出た際に起こる「潜水病」を起こす危険性を下げるためです。

ヘリウムガスの中では、音速が空気中よりも早くなります。(純粋なヘリウムの中での音速は秒速約1km)この特徴により、人がヘリウムガスを吸入して声を出すと通常とは異なる甲高い声になる現象(ドナルドダック効果)が起きます。これを利用してパーティグッズなどで「変声用ガス」としてヘリウムと酸素を混ぜたガスが販売されていますが、子どもを中心にガスの吸いすぎによる事故(嘔吐や意識喪失など)が発生することがあるので、注意する必要があります。

液化したヘリウムは-269℃以下という極低温が得られるため、冷却剤としても利用されています。安全性も高いため、超電導磁石を利用して走行するリニアモーターカーにも使われています。

地球上でヘリウムの産出量が多いのはアメリカ合衆国で、長年にわたり商用ヘリウムの約9割以上を生産してきました。アメリカ以外にはカナダ・ポーランド・ロシアなどで生産がおこなわれています。日本では全量を輸入に頼っています。