原子番号100:フェルミウムの特徴や性質

アクチノイド

原子番号100はフェルミウム、元素記号はFmです。元素名については、世界初の原子炉を1942年に完成させノーベル物理学賞も受賞した、イタリア出身の物理学者エンリコ・フェルミにちなんで命名されました。

フェルミウムが発見されたのは1952年に行われた最初の水素爆発のチリの中です。人工的に作られる放射性の元素で、軽い元素に中性子を照射させることで作ることができる最も重い元素となっており、マクロ量で生成できる最後の元素でもあります。

純粋な金属としてのフェルミウムは現在も作られていないため、金属としての外見は不明です。ですが、フェルミウムとイッテルビウムの合金は作られています。その合金は光沢のある銀色をしています。

地球の地殻中にも天然のフェルミウムは存在していませんが、アインスタイニウムのサンプルが崩壊する中でフェルミウムが見つかったことがあります。このことから、地球が誕生してからしばらくは天然のフェルミウムが存在していたかもしれないことがわかります。

フェルミウムの同位体は全てが放射性でありその毒性も高いと考えられています。19個あるフェルミウムの同位体のうち、最長の半減期を持つフェルミウム257の半減期が100.5日、フェルミウム253の半減期は3日、初めて発見されたのはフェルミウム255で半減期は20.07時間でした。フェルミウム251・252・254・256の半減期は数時間から約1日ですが、これら以外の同位体については半減期が30分からミリ秒以下であることがわかっています。

フェルミウムを作り出すには、核施設で軽いアクチノイドの原子核に中性子を衝突させます。現在ではアメリカのオークリッジ国立研究所にある高中性子束同位体生産炉が主な製造元となっています。核爆発が起きている最中にウランに多数の中性子が叩きこまれることでアインスタイニウムが生成され、それが崩壊することでフェルミウムが生成されます。

軽元素しか関連しないのになぜフェルミウムという重元素が誕生するか、という点については、核融合を起こすために必要な超高温・高密度の状態を作るために濃縮ウランの核分裂を利用しているからです。ウランが核融合で生じた中性子・軽元素の原子核を吸収することで超ウラン元素が誕生しています。

フェルミウムは生成も難しく、生成できてもごくわずかな量なので直接触れることができる人はほとんどいません。それでもフェルミウム253とフェルミウム257については国際放射線防護委員会において年間暴露限界が定められています。それほどの毒性が認められるということです。