原子番号110:ダームスタチウムの特徴や性質

不明

原子番号110はダームスタチウム、元素記号はDsです。元素名についてはドイツの重イオン研究所があるダルムシュタット市の名前を由来として命名されました。

このダルムシュタットという都市はドイツのヘッセン州にあります。ヘッセン州は108元素のハッシウムの由来となったところです。107元素から112元素までは同じ重イオン研究所で合成・発見されたため命名権もあり、ドイツ由来の名前が多く使われています。

ダームスタチウムが合成されたのは1994年、重イオン研究所にてドイツ人化学者のペーター・アームブラスターと同じくドイツ人化学者のジクルト・ホフマンが率いた研究チームによる実験です。重イオン線形加速器で加速したニッケル62イオンを鉛208にぶつけることでダームスタチウム269が合成・発見されました。

ダームスタチウムの正式な名称が決まったのは2003年8月です。この名前が決まるまではウンウンニリウムという系統名で呼ばれていました。日本では「ダルムスタチウム」や「ダルムシュタッチウム」と呼ばれたり表記されていましたが、2004年3月に日本の化学に関連する研究者・企業人・学生らが構成する学会の一つである日本化学会によって「ダームスタチウム」という表記・名称で呼ぶことに決まりました。

ダームスタチウムは周期表では第7周期の10族に位置し、遷移金属元素に分類されます。常温常圧の状態では、銀白色~灰色をした固体であると推定されています。ダームスタチウムの同位体はすべて放射性で、人工的に合成された物質のため、自然界には存在しません。

超ウラン元素、超アクチノイド元素であり、安定した同位体は存在していません。ダームスタチウムの同位体は8つ発見されていますが、どれも半減期がとても短いのが特徴です。最も長い半減期も持つダームスタチウム281でさえその寿命は11秒しかありません。最も半減期の短い同位体はマイクロ秒(100万分の1秒)でアルファ崩壊していきます。

重イオン研究所の実験で初めて合成されたダームスタチウム269は半減期が0.17ミリ秒となっています。半減期があまりに短いため、標準原子量も定めることができずに崩壊します。また、生成されたダームスタチウムも研究のためにしか使用されることはなく、詳しい化学的な性質もよくわかっていません。

自然界や生物への影響など、今後新たな発見・発表がされる可能性があります。