原子番号20:カルシウムの特徴や性質

アルカリ土類金属

原子番号20はカルシウム、元素記号はCaです。元素名はラテン語で「石」を意味する言葉から転じた「石灰」を意味する語からつけられています。

常温常圧の状態では銀白色で光沢のある柔らかい金属で、面心立方格子構造をしています。単体で空気中に置くと、酸素・水・二酸化炭素と反応して腐食するという特徴があるため、不活性ガスや鉱油の中で保存されます。水と反応すると水素を発生するため、日本では危険物第3類(金水性物質)に指定されています。

カルシウムは古代ローマ時代から知られており、利用されてきました。石灰岩や大理石の主な成分は石灰(炭酸カルシウム)で、耐久性・加工性のバランスがとても良く、ピラミッドやパルテノン神殿の建設の際に石材として使われています。現代でも建築の際に利用されているセメントはカルシウムが空気中の水分や炭酸ガスと反応して硬化することを利用した発明品として有名です。セメントについてはおよそ9000年前にはイスラエルで利用されていたと言われていますが、現在の方法と似た使い方をされるようになったのは5000年前の中国・4000年前の古代ローマの時代です。

このようにカルシウムは建設・建築の分野で大いに役立っていますが、他にも工業(ガラス製造・化学工業・製鉄・パルプ工業・排水処理・ゴミ焼却炉など)や食品・家庭用品(食品添加物・学校用品・入浴剤・研磨剤など)、農業畜産(農薬・飼料・肥料)などといった分野でも幅広く活用されています。

さらに人・動植物にとっても必要なミネラルとしても知られています。人体にとって、カルシウムは骨・歯の構成になくてはならないミネラルの一つです。成人男性の場合、約1㎏がカルシウムで占められています。体内では一番多く存在しているミネラルになっています。体内にあるカルシウムの約99%は骨や歯に「リン酸カルシウム」として存在しており、残り約1%が血液・筋肉・神経などにイオンや塩の形で存在しています。

食品などで口から摂取されたカルシウムは、主に小腸で吸収されますがその吸収率は成人でも約20~30%となっています。吸収されたカルシウムは小腸から血液の中に入ると、すぐに使用される分以外が骨に蓄えられます。もし血液の中のカルシウムが不足すると、骨のカルシウムを血中に出して補われるため、骨がもろくなってしまいます。

カルシウムが多く含まれている食品としては、牛乳・小魚(わかさぎ・あゆ・ししゃもなど)・海藻(ひじきなど)・大豆(豆腐など加工品も含む)・緑黄色野菜(小松菜・モロヘイヤ・菜の花など)があります。

骨の形成が盛んになる成長期や、赤ちゃんの発育のために妊娠・授乳期などは特にカルシウム不足にならないようにするのがいいでしょう。また、長期にわたって体内のカルシウムが不足してしまうと高齢になってから骨がもろく折れやすくなる「骨粗しょう症」を発症する恐れも出てきます。