原子番号113はニホニウム、元素記号はNhです。元素名については発見国となった日本にちなんでつけられました。
113番元素については、2004年2月にロシアとアメリカの合同研究チームがアメリシウムとカルシウムから合成した115番元素のアルファ崩壊の過程から113番元素を観測したと発表していました。また、同じ2004年の9月に日本の理化学研究所にて森田博士の率いるグループがビスマス209に線形加速器を使って加速した亜鉛70をぶつけることで113番元素の合成に成功したと発表をしました。
その後も2006年6月にはロシアとアメリカの合同研究チームがネプツニウムとカルシウムから113番元素を合成したと発表、さらに2009年にバークリウムとカルシウムから合成した117番元素のアルファ崩壊の過程で113番元素を検出したと発表しています。
しかしながら理化学研究所が2012年9月に3個目の113番元素の合成に成功、その後6回のアルファ崩壊を経てこの元素がメンデレビウム254になる崩壊系列となることを確認することに成功したことで、この元素が113番元素であることが証明され、理化学研究所に命名権が与えられることになりました。
新元素を発見・命名権を獲得したのはアジアでは初となり、2016年11月に113番元素がニホニウム(nihonium・元素記号Nh)という名称になったことが国際純正・応用化学連合(IUPAC)から発表されました。
ニホニウムという名称を提案するまでは、理化学研究所の所在地に由来した「ワコニウム」や「ヤマトニウム」、物理学者の仁科博士にちなむ「ニシナニウム」、「ジャパニウム」「リカニウム」などいろいろな候補が挙げられていました。
新元素の発見から正式名称が決まるまでは、系統名で「ウンウントリウム」「ウンウントリニウム」と呼ばれていました。また、周期表では第13族に属し、タリウムの下に位置することから「エカタリウム」と呼ばれることもあります。
ニホニウムは人工的に作られた放射性の元素であり、自然界には存在しません。同位体は6つ確認されていますが安定した同位体がなく、最も半減期が長いのがニホニウム286の半減期20秒です。これまでの研究で、さらに重い同位体が発見されれば半減期が長くなり安定すると予測されており、ニホニウム287は約20分の半減期があると予測されています。
ニホニウムの発見場所となった理化学研究所がある埼玉県和光市ではニホニウムの発見を記念して、和光市駅から研究所までの道路を「ニホニウム通り」として整備しました。歩道には原子番号1から118までのプレートが設置されており、いくつかのモニュメントも設置されました。