原子番号98:カリホルニウムの特徴や性質

アクチノイド

原子番号98はカリホルニウム、元素記号はCfです。元素名については発見場所となったカリフォルニア州とカリフォルニア大学にちなんで命名されました。州と大学の名前は「カリフォルニア」ですが、元素名の明記は「カリホルニウム」と異なっています。

1949年にアメリカの化学者シーボーグ、トンプソン、ギオルソらの研究チームがキュリウム242にアルファ線を当てることでカリホルニウム245を作り出したのが発見のきっかけとなりました。その後いくつかの同位体が発見されましたが、安定した同位体はなく物理的・化学的な性質はまだはっきりとわかっていません。

わかっている中では、カリホルニウム251の半減期が898年で一番長く、カリホルニウム249の半減期が351年、カリホルニウム250の半減期が約13年、カリホルニウム252の半減期が2.65年、カリホルニウム248の半減期が約333日、カリホルニウム254の半減期が約60日、カリホルニウム253の半減期が約18日です。初めて発見されたカリホルニウム245の半減期はわずか45分しかありません。

カリホルニウムよりも原子番号の大きな元素の同位体は、その寿命が短く半減期が1年未満のものが多くなります。そのため、化学的な研究ができる最後の元素といえるのが、カリホルニウムになります。カリホルニウムの中でも合成がしやすいカリホルニウム252でも自発核分裂をする率がとても高いため、取り扱いには大きな危険が伴います。このことがカリホルニウムの化学的な性質を調べることを不可能にしています。

バークリウム249がベータ崩壊することで得られるカリホルニウム249は半減期が351年あるため、カリホルニウムの化学的な研究に使われています。カリホルニウム251はカリホルニウムの同位体の中で最長の約900年という半減期をもっているため研究には理想的ですが、カリホルニウム251は合成が難しいため実現に至っていません。

カリホルニウムは高濃度のウラン鉱石の中で天然に存在することが考えられますが、その量はとても少なく抽出されることはありません。

カリホルニウムの用途としては、カリホルニウム252は中性子線源や非破壊検査、その他の研究用として使われています。原子炉の建設後に最初の中性子源として利用されることもありますが、その必要量はμgという小さな単位になります。

カリホルニウム249は厚さが2㎝以上もある鉛をも通り抜けるほど強力なガンマ線を放出しています。そのため、5㎎のカリホルニウム249を手にするだけで10分も経たない間に年間の値を超える放射線量を浴びることになります。カリホルニウムの研究をするには、専用の施設の中で被爆時間が最小限になるようにする必要があります。