原子番号46:パラジウムの特徴や性質

遷移元素

原子番号46はパラジウム、元素記号はPdです。元素名については、パラジウムが発見された前年・1802年に発見された小惑星の名前にちなんで命名されました。

常温常圧の状態では銀白色の金属で、安定した結晶構造としては面心立方構造をしています。白金族元素の1つであり、貴金属にも分類されています。柔らかさと耐食性を兼ね備えており、人体に対しての毒性が弱く歯の治療用合金やアクセサリーとして使用されます。

地殻には平均して0.0006ppmしか含まれておらず、1803年にブラジル産の白金鉱石の中から発見されました。酸化力の強い酸に溶けるという特徴があるレアメタルの一種です。また、自身の体積の935倍もの水素を吸蔵するという性質もあり、水素を生成する際にも使われています。

世界的な産出量はロシア・南アフリカ共和国で約85%を占めており、カナダとアメリカが約10%となっています。プラチナ・ニッケルなどの鉱山からの副産物として生産されており、主産物となる鉱物の採掘量によってパラジウムの生産量が左右されるため安定しません。2010年代には南アフリカのプラチナ鉱山の閉鎖が相次いだことでパラジウムの生産量も減り、価格が高騰しました。

パラジウムの身近な使い道としては歯科治療で使われる「銀歯」です。銀歯には金銀パラジウム合金が使われており、パラジウムの含有量は20%以上になっています。プラチナよりもアレルギーを起こしにくく安価であることが決め手となっています。

貴金属としてアクセサリーに使われることも多くあります。プラチナ製のジュエリーには「Pt950」や「Pt900」といった刻印が入っていますが、これはプラチナの割合を示しています。残り50や100の部分に合金として使われているのがパラジウムです。プラチナや金だけでは硬度が低くなったり、金属的な白みを出すために加えられています。近年は高額なプラチナやホワイトゴールドに代わって、パラジウムをメインに使った合金のアクセサリーも開発・生産されています。

パラジウムのその他の用途としては触媒としての利用があります。自動車から排出される排気ガスの中の窒素酸化物・炭化水素・一酸化炭素などといった有害物質を、パラジウムやプラチナを触媒に使うことで炭化水素を水に、一酸化炭素を二酸化炭素に変換しています。

また、電気・電子部品にも金銀プラチナの合金として使われています。接点やコンデンサーの材料に使われていますが、パラジウムやプラチナの価格が高騰しているため、代替物質としてニッケルの注目度が高まっています。