原子番号107はボーリウム、元素記号はBhです。元素名については、デンマークの物理学者ニールス・ボーアにちなんで命名されています。
ボーリウムの発見については2つのグループが主張をしました。1つ目は1976年のユーリ・オガネシアンが率いたソ連の研究チームです。ビスマス209のターゲットにクロム54、鉛208のターゲットにマンガン55の加速した原子核が撃ち込まれ、ボーリウム261ができたとの主張でした。
2つ目はゴットフリート・ミュンツェンベルクが率いたドイツの研究チームが、1981年にビスマス209のターゲットにクロム54の加速した原子核を衝突させてボーリウム262の同位体の原子5つを生成したことです。
ソ連の発表では十分な説得力がないと結論付けられ、ドイツの実験で生成されたボーリウム原子からはフェルミウムとカリホルニウムへのアルファ崩壊連鎖が測定できたため、ドイツの主張が認められておりドイツがボーリウムを発見したと認証されました。
ボーリウムという名称が決まる前、ドイツはニールスボーリウムという名称を新元素に付けることを提案していました。しかしながら、過去に元素の名前に化学者のフルネームを使用したことがなかったため、国際純正・応用科学連合は「ボーリウム」という名前を勧めます。発見者はこの意見に反対をしていましたが、1997年にボーリウムという名称が国際的に認められたため、そのまま決定されました。
ボーリウムには安定した同位体や自然に発生する同位体は存在しません。生産量は少なく、効果になることと半減期が短すぎることで詳しい特性や性質はわかっていないのが現状です。
実験室では2つの原子を融合させること、あるいはより重い元素が崩壊することで観測されるボーリウムによって放射性の同位体を合成しています。現時点では12個の同位体があることがわかっており、ボーリウム262は準安定状態を持っています。ボーリウム278は存在がわかっていますが未確認の状態です。
ボーリウム260・261・262の半減期は100ミリ秒未満、ボーリウム264・265・266・271の半減期は約1秒、ボーリウム267・272の半減期は約10秒、ボーリウム270の半減期は61秒、ボーリウム274の半減期は40秒です。ボーリウム278については、最も長い約690秒の半減期があるのではと考えられています。
常温常圧の状態では固体であろうと予想されており、レニウムと同じように六方最密結晶構造をしていると考えられています。2000年には沸点が151℃の塩化ボーリウム酸がスイスで合成されました。