原子番号37はルビジウム、元素記号はRbです。元素名はルビーのように赤いスペクトル線から発見されたことに由来して、ラテン語の「暗赤色」を意味する言葉から命名されました。
常温常圧の状態では銀白色をしたとても柔らかい金属で、体心立法構造の安定した結晶構造を持っています。融点が39.3℃と低いため、簡単に溶けてしまうという特徴があります。さらに空気中で自然発火するという特徴も持っているため、日本では危険物に指定されています。そのため、ルビジウムを保存する際には乾いた鉱油が使われたり、不活性雰囲気のガラス製のアンプル内に入れられます。
反応性がナトリウム・カリウムよりも強く、空気中ですぐに酸化します。水とも反応することがあり、水と反応した際には水素が発生します。その反応による反応熱は発生した水素を爆発させるために十分なものであり、反応によって爆発を起こしてしまいます。
ルビジウムはある程度地殻に存在しており、その量は亜鉛と同量程度とみられています。ポルサイト・カーナライト・チンワルド雲母などの鉱石には最大で1%程度、リチア雲母には0.3~3.5%程度のルビジウムが含まれています。
同位体であるルビジウム87は放射性があり、その半減期は488憶年と言われています。ルビジウム87がベータ崩壊をすることでストロンチウム87になることを利用して、年代測定をすることができます。この年代測定法は「ルビジウム-ストロンチウム法」と呼ばれています。
ルビジウムの用途としては、炭酸ルビジウムをガラスに混ぜることで丈夫かつ電気の絶縁性に優れたガラスにすることができます。ルビジウムを混ぜたガラスはブラウン管用として使われています。
また、原子時計にもルビジウムは使われています。セシウムが使われた原子時計と比較すると正確さが劣りますが、小型化・低価格化が実現できるためルビジウム原子時計は幅広く利用されています。ルビジウム原子時計の正確さは3000年~3万年に1秒のずれが生じるかどうか、というレベルのため、とても正確だといえる範囲です。
ルビジウムの化合物は炎色反応で紫色を出すため、花火の色付けにも使われます。
他にも、脳腫瘍を画像化するためにルビジウム82が使われています。
将来的には次期流体力学の原理を応用して、熱電変換材料に使用されるべく研究が進められています。その仕組みは高温でルビジウムをイオン化させ磁場を通過させることで電気を通し、発電機の電機子のように働かせて電流を発生させます。
さらに双極性障害やうつ病による憂鬱の改善にルビジウムが有効でないかとの考えがあり、試験が行われています。ルビジウムを含んだサプリメントが憂鬱を改善するとして市場に出回る日も近いかもしれません。